「櫂……、君は僕の……恋人なんです。」
「え……?」
あからさまな嘘だ。
でも、僕が櫂を待ち続けた時間と比べれば、こんなの、小さな嘘だ。
「この建物の中を見たでしょう?実は、僕はここのリーダーでしてね。最近忙しくて君に会えなかったのです。」
自然と饒舌になる。
「寂しい思いをさせましたね、櫂。まさか君がこんなことになっているとは……。」
強く櫂を抱き締める。
「ほんと……に?」
櫂が疑うのも当たり前だ。
でも僕は屈しない。
「本当に僕を忘れてしまったんですか?恋人でなかったら、男の僕が、男の君にキスなんてしますか?櫂……。」
「それは……。」
櫂の頬が朱に染まる。
可愛いですよ、櫂……。
「僕に任せてください。」
記憶を取り戻せるかもしれませんよ、と付け加え、僕は櫂を押し倒した。
もう一度口づける。
櫂は僕の袖を握っているだけでされるがままだった。
眉間にシワを寄せつつも、どうにか僕に身を任せようと必死だった。
そんな櫂がいとおしくてたまらない。
首に数個の赤い印をつけると、僕は櫂のシャツのボタンを外した。
時折櫂の身体が跳ねる。
首筋から胸にかけて、つ……と舌を這わせると、小さく喘ぐ声が聞こえた。
やがて露になる白い肌。
桜色に色付いたふたつの点は、櫂のだからだろうか……すごく、いやらしく見えた。
「綺麗ですよ……。」
口に含んで舌で転がす。
「ひゃっ……!?」
初めての刺激を与えられた乳首はあっという間に立ってしまっていた。
「気持ちいいですか?」
「わかんない…っ……!」
そんな表情しないでください。
つい逸ってしまうではないですか。
僕は櫂のベルトをはずし始めた。
「待っ……!」
「どうしました?」
「本当に……このまま……っ……。」
不安気に僕の手を握ってくる。
「大丈夫です。……ふふ、怖いですか?恋人なのに。」
「でも……。」
櫂の反応は当たり前だ。
いくら恋人とはいえ、記憶を失っている相手に行為を強要するなんて。
僕だってわかってる。
でも、櫂とふれあうこんな機会を逃したくなかった。
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