毛布の中心がもこもこと波打ったかと思えば、その波紋は縦方向に広がり一層激しく蠢いた。


ああ、もうそんな時期か。


僕は紅茶を受け皿へ置き、引っ掛かる毛布を取り払ってやった。

透き通るように白くきめ細やかな肌、すらりと伸びる細い足、無駄な脂肪はなく薄い筋肉がついているだけの胸、キャラメル色の髪に翡翠の瞳。

布は纏っていないものの、どこからどう見ても人間である彼にはそう呼べない原因があった。

それはピン、と立った獣耳……猫耳と尾てい骨の延長に生える尻尾。


「レン、ヤらせろ」


生意気なこの猫、櫂はベッドに寝転がりながら僕を見上げるのだった。



---猫ネコ---



櫂のふんわりした髪を乱暴に撫でる。

うっとりと翡翠を細め、身を任せている様が可愛らしい。

容姿はどちらかというと綺麗に近いが、仕草や性格は動物特有の癒し的な可愛さがあった。


「ヤらせろ、だなんて下品ですね。受け身になるのは櫂の方ですよ?」

「げひん」


櫂は確認するように僕のことばを繰り返した。

櫂は必要最低限のことばしか理解できない。

そのほとんどがセックス中に用いられるもので、櫂は恥ずかしげもなく卑猥なことばを吐く。

自分自身を刺激しているのか僕を煽っているのかはわからないが、そんなことはどっちだっていい。

どっちにしろ僕は愉しいし、櫂も喜んでいることには違いないのだから。


「はやく、レン……」


シャツに忍ばせてくる櫂の手を制し、僕は耳に息を吹きかけた。

もちろん猫耳の方に。

人間の耳は見かけだけの作り物で、実際に音が聞こえたり感覚があるのは猫耳らしい。

耳を伏せふるふると頭を振り指を丸めて耳を撫でる櫂に僕は自らシャツを脱ぎ、覆い被さった。


「可愛がってあげるよ、櫂」


櫂は何度も身体を重ねるうちに僕をその気にさせるやり方を学習していた。


「俺のこと、めちゃくちゃにしてみろよ」


紅い舌をちらりと犬歯の横に覗かせ、期待に濡れる瞳で見上げられる。

誘い文句だとわかっていながら、僕はぷっつりと理性の糸が切れる音を聞いた。


誘ったのは櫂ですからね……。


櫂の手首に吸い付き人差し指へ舌を這わせる。

整った指先を甘咬みし唾液を残す。

柔らかな腕を辿り鎖骨を舐めあげれば、ふるり、と櫂の長い睫毛が震えた。


「ぞくぞくする……っん」


マシュマロのような唇の感触は味わう度に甘さを増していく。

ふわふわというかふにふにというか、むしゃぶりつきたくなる唇とはまさに櫂のものを言うんだと思う。

そんな唇の間から覗く舌も甘いお菓子のよう。

そんな舌を、蜜を啜るように弄ぶのが僕は好きだ。


「ン…、ふ、っはあ……」


唾液が溢れ櫂の首まで伝っている。

それが僕のものだったら構わないけど、櫂のだったら勿体無い。

濡れた首筋を掬い上げ、噛みついた。


「ッぁ……!」

「血は出てないよ」


眉間にキスを落とし、頭から生える柔らかな耳をくしゃりと撫でた。

ふわふわで、冷たくて、気持ちいい。


「レン…おちんぽしよう?」


足をM字に広げ、アナルを見せつけてくる。

そこはきゅ、と閉じられていながらもどこか物欲しげだった。

見た目はほんのり色付いているだけでさながら処女のようだが、両手両足を使っても数えきれないほど僕と繋がってきた。

本当にやらしいね、櫂。


「もう欲しくなっちゃったんですか?まだ、胸も触ってないのに」


ピンク色の乳首を捻って摘まみあげる。

櫂は色っぽく小さく鳴いた。


「おっぱいは自分でやる……。だから、早くハメて?レンのおちんぽちょうだい?」

「淫乱ですねぇ」

「俺の淫乱なお尻ズコズコしなよ」


知っていることばを並べただけの会話。

それがまた僕の興奮を掻き立てる。

よくできた猫だ。

僕は櫂の手を胸へ導いてやり、自分で弄らせた。

細い指で自らの乳首を捏ね回し一生懸命快感を拾って喘ぐのは、わざとらしくも見えたがそれもプレイの一環だと思えば可愛らしい。

尻尾の根元をキツく掴み軽く扱いてやった。


「ひあっ!?にっ、しっぽ……、だめぇ!」


櫂の全身がふにゃりと緩和していくのがわかる。

どうも尻尾を捕まれるのが弱いらしく、絞められることで身体の力が抜けてしまうらしい。

しかしながら櫂のぺニスは萎えるどころか完全に勃起したままだった。

透明の汁を溢して、視覚的にも煽ってくる。


「ほら、もっと弄ってください」


櫂はまた両手で乳首を刺激し始めた。

時折ぱたぱたとはためく耳を見ると、クールで綺麗な顔つきとのギャップを感じた。

僕はすでに解れている櫂のアナルに唾液を絡ませた指を2本差し込んだ。

相変わらずキツい……。

空いた手でシーツを叩く尻尾を指の輪の中に根元から先まで通す。

高級な毛皮のような柔らかな毛が指の間を撫でた。


「にぃぃぃ……」


櫂は子猫を思わせるか細い声で鳴いた。

女の子にこんな喘ぎ方をされてもなんの煽りにもならないどころか叩きたくなるけど、櫂にはいっぱいいーっぱい声を出してほしい。

僕は櫂の気持ちいいところを乱暴に激しく擦った。

あまりにもぎゅうぎゅうに締め付けてくるから、尻尾を掴んで緩める。

やがてアナルはいやらしい水音を奏で始めた。


「ひぁ、そこっ……!きゅんきゅんてしていっぱい気持ちいぃぃ……」


いつの間にか櫂は自身のペニスを弄り始めていた。

亀頭を揉み込み、鈴口を指先で刺激する一方で乳首を捏ねるのも忘れない。

なんだか僕が櫂の一人遊びを手伝っているようでむかつく。

僕は櫂の身体を反転させると、お尻を高くあげさせた。

しゅるりと尻尾がしなる。


「ふぇ……、レン?」

「ふふ、挿れますよ」

「おちんぽ!はやくぅっ……ぁああ!!」


ぐっ、と尻尾を持ち上げ力の抜けたアナルを貫いた。

とろとろで熱くて必死に僕のを呑み込んでいる。

シーツを握りしめる櫂の最奥を何度も突き上げると衝撃に合わせて尻尾が揺れた。

その根元を擽るとナカが絞まったり緩んだりしてすごく気持ちいい。

僕の精液を搾り取ろうとしているみたいだった。


「っは、いいですよ、櫂……」

「囁く、なぁっ……!にゃぅっ!ふぁっ!!」


敏感な耳を唇で挟めば、櫂が更に強くシーツを掴んだ。

わざと息を吹き掛けると耳は伏せられ、アナルが絞まる。


「櫂の身体は僕の好きなようにできるんです」

「ぁっあっ、いいっ!好きなようにし、て、いいからぁっ……もっと気持ちいいとこぐりぐりしてぇ…!!!!」

「全く……、ただの淫乱猫ですね」


こりこりとそこを刺激してやると、催促するようにアナルがギチギチに絞まった。

すかさず尻尾を引っ張る。


「にゃぁん!!」


甘ったるく鳴く声を聞くと、ああ本当に猫なんだな、と思えた。


「レン、意地悪しな…、でっ……!!俺っ!おかしくなっちゃうよぉ……」


無理矢理快感を剥がされたり押し付けられたりするんだからもどかしくて仕方がないのかもしれない。

そんな櫂の反応を見るのが楽しいんだけどね。

ベッドが激しく軋む。

もしここがアパートだったら下の階の人は煩くてたまらないだろうな、というくらいに、激しく。


「は、ぁん!!きもちぃっ…そこぉ!きもちぃよお!!!!もっと、もっとおちんぽしてぇっ?」

「欲張りです、ね……!」


もう尻尾を掴むようなことはしなかった。

櫂のナカでとろけてしまいたかったから。


「はげ、しっ……ぁ、んっ!にゃぅっ!!や、あっ、あっ、あっ!」


そんなにしたら、イっちゃうじゃないですか……。

僕は櫂の肩に噛みついた。

びくり、と背中が跳ねる。


「に゛ゃぁああ!!」

「櫂っ、出しますよ…っ……」

「ひゃっ!?レンの、どろどろの、精液っ!?ほしいぃっ!レンで、いっぱいにしてぇっ!!」

「もちろんですっ」


僕は一番深いところに、櫂の望むものを流し込んだ。


「っぁぁああああ!!いく、イクぅ!レンの熱くてイっちゃうよおおお!!!!」


淫らな猫は一際甲高く啼いてシーツを濡らした後、全身の力を抜いて沈んだ。

漸く紅茶が似合う静かな部屋に戻った。

櫂が小さく息み、精液が流れ出る。

肩で息をする櫂。

かなりの体力を消耗したのだろう。

僕は常備してあるウェットティッシュを箱から数枚抜き、櫂の汚れた部分を拭いてやった。


「毛布、かけて」


僕は毛布で櫂の全身を覆った。

布越しのシルエットがもぞもぞと動く。


「次はいつ来るつもりですか?」

「さあ」

「僕に飼われません?」


波紋が小さくなっていく。

ふわふわのキャラメル色が顔を出し、素早い動きで出窓へと飛び乗った。

わざと作った小さな隙間を確かめこちらを振り返る。


「にー」


揺れるしっぽにつられて、僕も手を降った。


また来てくださいね。


淫乱なネコさん。



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猫ネタを書かせてくださりありがとうございました!!ざくろ様っ!
趣味丸出しになってしまいました/(^o^)\
2012.01.30

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