「ほら、かい。こうするんですよ。」


驚く間もなくレンが宙で片手で筒を作り振るような動きをして見せる。

俺は喉に引っ掛かる唾を飲み込んでから大きくなったおちんちんに触れた。


「こう、か……?」


レンが頷く。

おちんちんを握る手をゆっくり動かすと、もどかしいようなぞわぞわするような初めての感覚が襲ってきた。

これが「せいえき」を出すために必要な感覚なのだろうか。

確かに子供にはわからないことだと思った。

なぜか罪悪感を感じてしまう。

始めてみるおちんちんの形状に対する動揺と始めての刺激に対する期待と緊張が俺を大人へ導いていると思った。

ふとレンを見る。

レンは無垢な笑顔を浮かべたあと自らの下着をずらした。


「ぼくもいっしょにしたいです。」


レンのおちんちんも俺のとそっくりに大きくなっていた。

なんの躊躇いもなく右手を上下させるレンに尊敬と悔しさが滲む。

しかし不安を拭いきれずにいた俺にとっては一緒に同じ行為をしてくれるのは心強くもあった。

また一歩レンの方が大人になってしまうとも考えたが、俺はレンが一緒にすることは嫌ではなかった。


「んっ、ん……。」


レンが小さく声を漏らす。

レンの手の動きはすごくいやらしくて、上下させるだけでなく先っぽを手のひらで擦ったり、玉に触れたりしていた。

俺は見よう見まねで手を動かし、時にはわざと声を出してみた。

すると、さっきまでの感覚とは違い腰がずくりとするような、気持ちいいような気がしてくる。

意識しなくても勝手に手が動いてしまう。


「ぅ、ふぁ……!」

「かいも、きもちいいですか?」

「た、ぶんっ…」


おちんちんの先からはおしっことは違う透明の汁が出てきて、手とおちんちんの間を滑らせた。


「きもちいいえきたいでてますね。っぁ、ぼくも、ですよ。」

「こんなの、出してっ大丈夫なのかよ……!」


レンは女の子のような声をあげながらこくこくと何度も頷いた。

もしだめだと言われたとしても手を止めることはできないと思った。

それだけ中毒性のある刺激が俺を支配していた。


「おちんちんどうしで、きすさせたいですっ……。」


俺の返事も待たずに、お互いの熱い部分が触れ合った。


「あっ……!」


声だって勝手に出てしまう。

ぴちゃぴちゃとなる小さな水音と普段出さないこの声が混ざりあうとおちんちんへの刺激が増すことを短時間に覚えてしまったから。

おちんちん同士が擦れあう。

お互いの手がぶつかるのも気にせず、俺たちは行為に没頭した。


「は、ぁぁっ!あ……ひぁ、んんっ……!!」


自分の身体じゃないみたいだ。

ふわふわしてゾクゾクしてずっと浸っていたい。

やがておちんちんが疼き、尿意にも似た不思議なものが込み上げてきた。


「レンっ……、俺、なんかヘンだ……。」

「なにかでそうですか?」

「んっ、うん……!!」


おしっこが出るのとは違う。

なんとなく、本当になんとなくだけど、これから「せいえき」が出るんだと思った。

レンは空いた左手で俺の手ごとおちんちんを擦った。

もちろん右手では自分のを握っている。

最初にこうされたときとは違って、激しく擦るのが気持ちよかった。

俺はレンに促されるままに一層激しく手を動かした。


「ひぁああっ!!レンっ!どうしよう、レンッ……!」

「がまんしちゃだめですっ!だすときは、いっちゃうっていうんですよ!それが、おとな、なんですぅっ……!」

「んっ、わかっ、た!!」


レンの手が離れても俺の手は激しさを増すばかり。

脈を打つ度こわくて、どきどきして、不思議なこの感覚にどこかへ誘われていく。

不安なのにとめられない。

俺はオトナの領域に踏み込むことにした。


「あっ!あっ!も、でちゃぁぁ……!!いっちゃぅ!レンっ、いっちゃうよぉ……!!!」

「ぼくもですっ!ひぁ、いっちゃいますっ!!」


一際高い声が絡み合うなか、俺とレンは互いのおちんちんを白く汚した。


これが、せいえき……。


白くて、とろとろしていて、好ましくない臭いがする。

こんなものが自分から出たなんて……。

思考がついていかず俺はぼうっと手元を見つめた。

手はどちらのものかわからない「せいえき」に濡れていた。


ほんとに、出しちゃったんだ……。


自分でも驚くくらい客観的に冷静に事態を見ることができた。

大人になったからかな。

急に脳の作りが変わったような気がした。


「ふふ。ぼくたち、おとなですね。」

「意外とあっさり出ちゃうんだな、せいえきって。」

「かいはなきそうでしたけどね。」

「そんなことないだろ!」


これはまだまだ大人の一歩。

本当に小さな小さな一歩だった。




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「どうしました、櫂?」

「いや、少し昔のことを思い出していた。」


身体がシーツに沈む。


「こんな時に他のことを考えるなんて……、」

「妬けるか?」

「ええ、とっても。」


ゆっくりと丁寧にレンが侵入してくる。

俺はなんの抵抗もなくそれを受け入れた。


「んっ……、はぁ……。」


今思えばあの時の小さな一歩が現在の俺たちの関係を位置付けていたのかもしれない。

どこでこんなにも差がついてしまったのか。


悔しくも嫌でもないけど……。


もしかしたら……。

俺はレンに身を任せることにした。


---必然か偶然か---


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2012.01.12



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