「えっ、しらないんですか?」


カードをケースに仕舞いながらレンが言った。


「だって病気だろ、どう考えても……。」

「びょうきじゃないですよ。ちゃんとせいえきってなまえがあるんです。」

「せえき?」

「せ・い・え・き、です。」

「せいえき……。」


日課となっている放課後のヴァンガードファイト後、レンが突然不思議なことを言い出した。

不思議なことを言うこと自体は別に珍しくもなんともないのだが、その内容がいつものぽわっとした不思議さとは異なっていた。

生々しいというかおぞましいというか、とにかく想像しただけで大事なところがキュンとするようなことだった。

レンが言うには俺たち男子についているもの、所謂おちんちんからは白い液体が出るそうだ。

正直そんなものが出るイメージなんてこれっぽっちも湧かないし、もし出たとしたらそれは病気だと思う。

だって、口から血が出たり、吐いてしまったら身体に異常があるってことだ。

だからおちんちんからおしっこ以外のものが出たら、それは異常なんだ。

いくら白い液体に名前がついていたとしても、それは出血とか膿とかと同じように異常だから出るものに名前がついたのと変わらないような気がした。


「うたがってるめをしてます。」

「疑ってるからな。」


レンが頬を膨らませた。


「ひどいです。テツがいってたんですよ。ぼくはテツからおそわって、せいえきをだしたんです。」

「テツが?」


テツはレンの何倍も常識人だ。

そして俺の何倍も物知りで、冗談は言っても嘘はつかない。

特に、なんでも信じ込んでしまうようなレンに対しては難しい冗談は言わなかった。

本当にテツが「せいえき」についてレンに教えたとしたら、それは紛れもない事実でレンのいう通り病気ではないのだと思う。

それに、レンだって嘘をつくようなやつではなかった。


「かいはこどもですね。」

えっへん、といった様子で腰に手をあててレンが言う。


「何?」

「せいえきはおとなになるいっぽなんですよ。ぼくはいちどだしましたから、かいよりもおとななんです。」


これもテツがいってました、と念を押され俺は返す言葉がない。

レンは「せいえき」という液体について知っていて、それを出したこともあるという。

いつもぼーっとしていて実年齢よりも精神はいくぶんか低いとばかり思っていたが、経験上は俺よりも大人だということに悔しさを覚えた。

跳び箱を背もたれにして座り込むレンに向かい合って俺も体育座りをする。


「ほ、本当に大人になれるんだな。」

「いっぽです。」

「一歩でもなれるんだろ。」

「なれます!」


紅い髪を揺らして顔を近づけてきたレンの頬を押しやる。

レンよりも子供ということは俺のプライドが許さなかった。

とりあえずこの場でレンに追い付いて、後でテツにさらに大人になる方法を教えてもらおうと思った。

レンだって俺の知らないところで教えてもらっていたんだ。

だから俺だってレンに秘密で大人になったってズルくもなんともないはずだ。


「俺も、出したいっ……。せいえきっていうやつ!」


自分の性器からそんなものが出るなんて信じられなかったし、出てしまったらどうしようという恐怖もあったが、実際に出したというレンが目の前にいるから大丈夫なはずと自分に言い聞かせた。







「はずかしがらないでください。」

「恥ずかしがってなんかいない!」


レンに下着を下ろすように言われ、俺は片足に衣服を引っ掻けて下半身をさらけ出した。

こうなることは何となく予想はついていたものの、いざとなると正直恥ずかしい。

前を隠す俺の手をレンが退かし、少しだけ頬が熱くなるのを感じた。


「あんまり、見るな……。」

「どうしてですか?」


首をかしげるレンの頬はいたって正常で、自分だけがこんな思いをしているのかと思うと、やはりまだ俺は子供なのかもしれないと思った。

もしかしたらレンはすでに「大人の余裕」というやつを取得しているのかもしれない。

負けてられない……!


「で、いつ出るんだ。」

「まずはおちんちんをおおきくするんです。まだかいのはちっちゃいです。」

「なっ……!」


つん、と先をつつかれる。

なんだかバカにされているような気がして俺はレンの額を小突いた。

レンは「いたいじゃないですかぁ。」と予想通りの反応を見せた。


「大きくするってなんだ。レンのは大きいっていうのかよ!」

「おおきくなりますよ?」

「大きくなる?」


いつものことながら若干話が噛み合っていないような気がする。

レンは俺の手を取りおちんちんに触れさせた。

指先がおちんちんを上下に撫で妙な感覚がある。

手ごとおちんちんを握られさっきよりも強い力で上下させられた。


「やめろっ……!」


変な触り方に握り潰されそうで抵抗してしまう。


「うーん。」


レンは手を放すと、俺に跳び箱にもたれ掛かるように言った。


「こっちのほうがらくだとおもいますよ。」


素直にそれに従うと、レンの顔がぐっとおちんちんに近づく。


「な、なんだよ……。」


息がかかってくすぐったい。

レンは口をあーんとあけると、俺のおちんちんをぱっくりとくわえてしまった。

あまりの事に思わず腰を引いてしまい跳び箱がガタンと音をたてた。


「ひゃっ!?」


生暖かい中柔らかい唇で挟まれ舌が絡み付いてくる。

おちんちんが麻痺するような感覚がする。

時折歯が当たり不安になる。


「ふぇふひゃほうひへふへふぁんふぇふ!」

「やっ……、なに言ってるかわかんな……!」


喋る振動が俺を妙な気分にさせた。

やがてレンがちゅぽんと音を立てておちんちんを解放した。


「みてください!おおきくなってるじゃないですか!」


嬉しそうに言うレンにつられて恐る恐るおちんちんを見ると、さっきまで下を向いていたのにピンと上を向いて必死で自己主張をしていた。

長さはもちろん、その太さも増している。

レンの唾液が絡み付いていて、なんだかえっちだ……。




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