サンタを信じている子供は「いい子にしてないとサンタさんは来ないのよ」と大人の勝手な要望をサンタのせいにして押し付けられる。

純粋な子供はクリスマスまではいい子にしようと務め、ほしくて仕方ないプレゼントを手紙に書き、クリスマス当日を今か今かと待ち望んでいる。

好奇心旺盛であるため、サンタの姿を一目見ようと慣れない夜更かしを試みるが、結局睡魔には勝てず気がつけば外が明るくなっていたりするのだ。

毎年そんな風にしてクリスマスは過ぎ、いつの間にかサンタの存在についての知識を得て大人になっていく。

12月のいつだったか、レンの誕生日が過ぎた頃、レンがため息混じりに俺に語りかけてきた。


「僕はサンタを見たことがないんです。」


レンは12月に大量のプレゼントを貰う。

12日には誕生日、24〜25日にかけてはクリスマスというイベントがあるからだ。

フーファイターのリーダーであるレンはそこに所属するほぼ全員からイベントごとにプレゼントを貰っているらしく、約1000個ものプレゼントの箱が毎年山積みになっているという。


「12月生まれって損です。」

「何故。」

「誕生日とクリスマスを一緒にされます。子供の頃、僕の両親にはサンタさんからのも含めてって言われて誕生日に一度にプレゼントを渡されました。」


だから僕はサンタを見たことがないんです、とレンは大きなため息をついた。

フーファイターからいくら多くのプレゼントを貰っても、そこにはサンタからのものはなく、未だに会えずじまいだと言う。

レンは純粋だった。

純粋に語っていたから、俺は本当のことは話せなかった。

レンはサンタに会いたいらしいが、俺はサンタからのプレゼントを貰ってみたいと言っているように聞こえた。

知らないうちに枕元にプレゼントが置かれ、サンタの姿を見られなかったことを悔しがりながらも頭の中で好きなように想像するようなことを夢見ているのだと思った。

俺はレンのサンタになってやりたかった。

欲しいものに関しての情報は得られなかったが、特にこだわっている様子はなかったため喜びそうなものをプレゼントすることにした。



そして12月24日。

俺はレンをマンションに招いた。

日付が変わりそうになる頃にはレンの目はいつもよりもさらに半目になっていて、睡魔に襲われているのは明らかだった。

寝室に移動し、一緒にベッドにもぐる。

自分まで寝てしまわないように気を付けながら俺はおとなしくレンの腕に抱かれた。

しかし何が起こったのか、突然レンが身体をおこし、半ば強引に俺の上に馬乗りになった。


「櫂。」

「何だ……。」


予想外の出来事に少しだけ動揺してしまう。


「今年はサンタ……来ると思いますか?」


レンの髪が頬にかかってくすぐったい。

真剣に問いかけてくるレンに俺は「来ると思う」と伝えた。

だが、それがいけなかったらしい。

サンタが来るなら寝るわけにはいかないとレンは俺の身体を求めだしたのだ。


「櫂は寝ててもいいですよ。そういうプレイは嫌いじゃありません。」

「いや、そういう問題じゃ……」

「ふふ、楽しみです。僕たちのセックスを見せつけてあげましょう。」


先程までの眠気はどこにいったのか、キラキラと輝かせているその瞳は子供のようだったが、考え方はあまりにもそれとはかけ離れていて、レンが純粋なのか不純なのかわからなくなった。



しかし困った。

このまま朝までということになれば、こっそり置くはずだったプレゼントが渡せないだけでなく、またサンタに会えなかったとレンを落胆させてしまう。

俺は人が落ち込む姿を見るのは好きじゃない。

レンのだったら尚更だ。



レンは特に体力があるほうではなかった。

だからレンを寝かしつけるには体力を奪ってしまうのが一番いいと思った。

レンはヴァンガードをしているとターンが進むに連れてテンションが上がっていく傾向がある。

俺にも言えることだがそれは今は置いておく。

と、同様にセックスの時でもレンはどこまでも俺を攻め立てるのが好きだった。

俺の体力が切れるか、レンが飽きるまでそれは続く。

今日は後者はないと踏んだ俺は、逆にレンの体力を切らしてしまおうと考えた。


「今日は俺がシてやる。」


形勢逆転だ。

俺はレンをベッドに押し倒し、上から見下ろした。

レンの髪がシーツに広がる光景なんてなかなか見られるものじゃない。

確かに主導権を握りたくなるような光景だな、と思った。


「か、い……っん!」


言いたいことがあるのはわかるが聞き入れてしまいそうで、俺はレンの言葉をキスで塞いだ。

いつもレンにされるがままだった俺がうまくやれるかはわからないが、いつもレンがするのをイメージして行動にうつしていく。

パジャマのボタンを外し首に舌先を這わせると、レンの喉が小さく跳ねた。

軽く噛みつき優しくそこを吸えば白い肌には薄いうっ血のあとが残った。

レンだったらもっと濃くつけられるのにな。

思わず頬を膨らませてしまう。


「不満そうですね。」


くすりと申し訳なさそうに笑われ恥ずかしくなる。


「うるさい。」


熱くなった頬を見られたくなくて、俺はさらにレンの滑らかな肌を舌でなぞっていった。

乳首を転がすように舐め回し、指先でも摘まんだり押し潰したりして刺激を与える。

普段はまったく気にしていなかったのだが、こうやって弄っていると目に見えて反応があり、興奮した。

レンのズボンと下着をずり下ろし下半身を露にさせる。

こんなにも細い身体に俺は攻められていたのか。

いつもと違う視線で見るだけでこんなにも見た目の感じかたが違うなんて。




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