「だめだったんじゃないんですか?」
レンは、もう俺が止められないことをわかっている。
「っ意地悪……!」
いつの間にか腰を振っているのは俺の方になっていた。
ぺニスも中も自分が気持ちいいところに当たるように小刻みに動かす。
レンの首もとに顔を埋めると、甘い香りが鼻腔を擽った。
「ん、ぅ、あ…っ、はぁ……!」
だんだんと自分のぺニスが張りつめていくのがわかる。
学校の屋上で、誰かにバレてしまうともわからない状況で、性行為をするという非日常が余計に興奮をかきたてた。
「レンっ……、も、やだぁっ……!」
「イきそうなんでしょう?」
「んっ、キス、したい……ぁ、ん……!」
レンが静かに笑ったのがわかる。
噛みつくようにキスをされ、俺はそれに一生懸命応えた。
お互いの唾液を交換し貪り合う。
飲み込みきれない唾液が顎を伝った。
レンのことが好きで、好きで仕方がない。
本当は、わざわざ制服を着て会いに来てくれたことがどうしようもなく嬉しかった。
窓からレンの姿を見たとき、すごくドキドキしたんだ。
「あっ、ふぁ、っ…んんっ!」
レンが普通の高校生だったらと何度考えただろう。
一緒に授業を受けて一緒にお昼を食べて、そして一緒に下校する。
寄り道して暗くなるまで雑談するような、当たり前の日常をどれだけ望んだだろう。
だから、今こうして学校でレンとふれあっているのは、俺にとっては夢のようだった。
「はあっ、レンっ……、すき、だぁっ……!」
レンと目が合う。
そこには確かに、男子高校生としての雀ヶ森レンがいた。
「僕も、だいすきですよ。櫂。」
トクン……。
胸が高鳴り、その瞬間、俺はレンを見つめながら射精していた。
「っぁあ……!」
「ん、っ……!」
レンの制服が白く汚れる。
俺の中でもレンのぺニスが脈を打ち、精液が溢れ出ていた。
---------------
青かった空も、今では橙へと姿を変えている。
学校全体が静まり返り、そのことが肌に触れる風を余計に冷たく感じさせた。
レンは相変わらず柵の外を眺めている。
俺は隣にいながらもそんなレンを見つめていた。
「そろそろ全員下校したかもしれないな……。」
事が終わった後も戻るに戻れず、結局、下校時間が過ぎてから俺たちも帰ることにした。
レンの制服には俺が出した液体が白く乾きこびりついている。
落ちないものではないため、レンは特に気にしていないようだった。
困ったのは俺の中に出されたほうで、どう処理しようかと悩んでいたところ、雨水を流すためらしき排水口を見つけ、結局そこへ流してしまった。
次に雨が降ったときには、少なくともレンのが混ざって、というところまで考えてやめた。
「……迎えが来てしまいました。」
「迎え?」
正門を見ると、黒くやけに綺麗な車が止まっていた。
助手席からはテツらしき人物が降り、こちらへ一礼した。
手を振ってそれに応えるレンの表情は、どこか残念そうだった。
「櫂。」
「なんだ。」
ちゅ。
触れるだけの優しいキスをされる。
ハッとテツのほうを見ると、咳払いをして目を逸らされた。
「見せつけてみました。」
「そ、そうか……。」
きっと俺は、夕日のせいにできないくらい真っ赤になっているだろう。
「さあ、帰りましょう。」
レンが俺の手を引いた。
しばらくぶりに戻った校内は思った通りの静けさで、俺たち二人の足音だけが響いていた。
鞄を取りに教室まで行くと、すでに俺の荷物はまとめられ、昼休みに飲み残したいちごオレの下にはメモが挟んであった。
「おつかれ!って書いてありますね。」
レンが覗き込んでくる。
俺は妙な恥ずかしさを感じ、すぐにそれをポケットにしまった。
「……じゃあな。」
テツが後部座席のドアを開ける。
「櫂も乗っていきますか?」
「いい。」
「そうですか。ではまた。高校生、楽しかったですよ。」
静かにエンジンが鳴る。
俺が片手を挙げて別れを告げると、車は砂埃と供に去っていった。
俺は自分の帰路につく。
エンジン音が遠ざかるに連れて、レンはレンの日常へ、俺は俺の日常へと戻っていくような気がした。
今日はどこに寄り道しようか。
公園、カードキャピタル、それとも裏ファイトか。
そんなことを考えながら未だ中身のあるいちごオレに口をつける。
甘いな。
それはとてもチープな甘さだった。
---------------
シリアス気味になってしまいました。
らぶらぶなふたりが好きです!
2011.12.07
←
top