※芦倉様リクエスト
ひとつのチュッパチャップスを奪いあって食べる二人アマ燐










「燐遊びましょう」

背後から声をかけられて、燐はさほど驚くこともなく振り返る。
ちょうど夕飯を食べ終え、自室に戻ってきた所だった。
窓もドアもちゃんと閉めたはずだと考えて、どこから入ったのかとは今更すぎて聞く気にはならなかった。

「またかよ」

アマイモンの遊びとは殺し合いにことなので、げんなりしてそう応えた。
今まで幾度と無く誘われるのだが、断るのは至難の業だ。
断るというより、はぐらかすが正しいが。

「メフィストと遊べばいいじゃないか」

「ボクは燐と遊びたいんです」

「駄目なもんは駄目」

きっぱり断り快諾しない燐にアマイモンは不満そうに頬をぷっくり膨らますと、片手を取って手を絡めた。
そして強請るようにじっと見詰めたが、逆に睨みつけられ「駄目だ」と念押しされて、渋々といった様子で諦めた。

「燐のケチ」

「ケチで悪かったな」

燐のベットに近づいたアマイモンは持っていた大量のお菓子をシーツの上にぶち撒けると中央に腰かけた。
ぽんぽんと、ベットを叩いて隣に誘われ「しょうがねぇな」などとぼやきながらも、素直に隣に座る。
辺りに散らばるお菓子には嫌でも目に入り思わずその数に眉を顰める。

「うわ、お菓子どんだけあんだよ」

「ボクの夕ご飯です」

美味しいですよ、と言ってアマイモンはチャッパチャップスを差し出した。
それを受け取ってビニールを剥がすと、赤い飴が顔を出す。
口に含み舐めれば、イチゴ味。
一番好きな味だった。
蕩ける様な甘さに思わず頬が緩む。
甘いものは嫌いではなかった、ただあまり食べないというだけで。

ころころ器用に飴を転がしながら味わっていた燐はじっと見られていることに気付き、隣に視線を向ければ爪を噛むアマイモンを目があった。

「やっぱりそれ欲しいです」

「は?そこら辺にもあるだろ?」

シーツに視線を落とせば味はさまざまなチュッパチャップスがいくつか転がっていた。
残念ながらイチゴ味はもうないようだった。

「燐の食べてるのが欲しいんです」

「イチゴ味は譲らないからな!」

ぷい、と視線から逃げるように顔を背けると、後ろからの衝撃によってよろめき身体がベットに沈んだ。
突然のことに驚き呆気にとられている内に、アマイモンの手が伸び口に含んでいたチュッパチャップスを糸も簡単に奪い去った。

「あ、てめ!」

身体を起こし、同じように奪い返そうと手を伸ばすが簡単に片手で押さえ込まれてしまう。
悔しそうに顔を歪めていると、がりがりと不快な音が鼓膜を刺激した。

「もう食べちゃいました」

そう言ってアマイモンは両手を広げ、おちゃらけた様子で笑ってみせた。
手元を見ればすでに飴は棒部分から離れており、飴はきっと噛み砕いたために粉砕されているに違いなかった。
好きな味の飴をいきなり横取りされ、涙目になり落ち込んだ燐はきっと睨みつけるが、いつもの気だるそうな顔で全くといって効果はないようでまた少し落ち込んだ。

もう夕飯作ってやらねーなどと、俯いてぶつぶつと悪態をつく燐にアマイモンは顎に手を添えて唇を合わせた。
突然のことに驚きで固まっているのをいいことにアマイモンは舌で唇を割りさくと、ひっこんだ舌を絡めとる。
くちゅくちゅ、と唾液が絡まると同時に、細かくなった飴の欠片が互いの口内を行き来した。
一人で味わっていた時よりひどく甘く感じて、痺れるようだった。


長いくち付けでとっくに飴の欠片など溶けて無くなっているはずなのに、ひどく甘く感じた。



甘いのはきっとキミ。




110722
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リクエストありがとうございました!

あまあまにならなかった…!

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