※緋咲様リクエスト
15禁 雪・志→燐→勝でシリアス勝燐
悪魔だとバレた後の話。
そん時はただ怖いと思ったんだ。
「近寄んな!」
肩に触れかけた手を叩き落とせば、燐は目を見開き口を半開きにして呆然とこちらを見た。
次の瞬間にはゆっくりと目を伏せ、彼の蒼く透き通るような瞳に睫が陰を落とした。
うっすらと水の膜が張ったのがわかって、苦々しい気持ちに舌打ちをする。
聞こえたのか燐はびくりと身体が跳ねさせ、様子を伺うようにちらりと一瞥した。
らしくないびくびくとした態度にいらいらする。
当たり前の反応をしているだけだ。
俺だけじゃない。
誰に対して向けられたわけではなく、言い訳をして自分を納得させる。
俺は悪くない。
それでも燐が傷つくとわかっていながら言葉を吐いて、結果泣かせたのは自分であることは明かだった。
「あ……、勝呂悪い。でも俺お前と話がしたくて」
はは、と力のない笑みを浮かべる姿はひどく痛々しい。
普段のように些細なことになんか気にしないで元気よく振る舞えばいいのに、そうしないのは"俺"だからなんだろうか。
さんざん周りから言われて慣れていてショックなどないはずなのに。
"恋人" の俺だからなのか。
燐がサタンの息子だと周知にバレてしまう以前はたしかにそういう関係だった。
でも今はわけが違う。
志摩の兄貴や子猫丸の父を殺したサタンの息子だ。
「俺はサタンの息子なんかと話すことなんかないんや」
「……っ、それは…!」
悲しげに眉を潜められた表情にちくりと胸が痛んだ。
言った手前声を掛けることもできず、口を噤んでいると、
「坊〜」
緊迫した雰囲気の中それをぶち壊すゆるい間延びした声が届く。
振り向けば志摩と奥村先生の姿があった。
燐に何かしら用があるのだろうか。
いや、それは無いだろう。
奥村先生は違うと思うが、きっと志摩だって俺みたいな反応をするはずだ。
そうに決まってる。
「なんや、えらい怖い顔しとるよ?」
「いや、なんでもない」
そう言えば訝しげな顔で見て、ワンテンポ置いた後ふーんと興味を無くしたのか俺の後ろに立つ燐に目を留めた。
ほら、すぐに俺みたいな反応をするはずだ。
「あ、奥村君も一緒にご飯食べようや〜」
「いいのか!?」
「は?志摩お前…」
あれ。
なんで普通に話してるんだよ。
こいつはサタンの息子なんだぞ。
俺の方がおかしいっていうのかよ。
それでなんでこんなにイライラするんだよ。
予想と180度違った対応に俺は混乱し、わけのわからないイラつきにまたイライラした。
ほんと意味がわからない。
「…おい、ちょっとこっちこいや」
ぼそりと呟かれた言葉は燐に届くことは無く、今もわいわい志摩達と会話に花を咲かせていた。
久しぶりの会話なのか燐の表情は明るい。
俺とじゃなくてもいいってのか。
眉間の皺がきっと更に深くなったのがわかった。
ああ、もう。
「お前には先約がおるやろ!」
首に腕を引っ掛ければ、ぐえという蛙の潰れたような声が聞こえたが構わず志摩達とは反対の方へどんどんと歩みを進めた。
後ろからふたつの視線を感じたが、追ってくる気配は無かったので人知れず安堵した。
きっと今来られたらひどい顔を見られてしまうから。
(やっぱり好きだ)
見知った旅館の使われてない部屋の扉と開けば、意図を理解したのか無理やり引っ張らなくても燐自ら進んで部屋に大人しく入った。
それを確認した俺は、静かに扉を閉める。
部屋の中央まで進み、対面した俺は無理やり連れて来たことに何て言ったらいいかわからず、自然を視線が下に落ちる。
話にきたのに何黙ってるんだよ自分。
よし、と意を決して顔を上げれば、じっとこちらを見据えた燐と目が合った。
「俺のこと嫌いになったんじゃねぇの」
「は?」
何を言ってるんだこいつは。
別に嫌いになったわけじゃない。
それでも避けたのは変わらない事実だった。
「…別れたくねぇよ」
勝呂、と甘く切ない声で呼ばれて、返事の仕方なんてわからなかった。
その姿を直視することが苦しく感じ、俺は逃げるように視線を下げるとと不意に頬に触れられた。
思わずびくりと身体を揺らしたが、跳ね除けたり動くことができなかった。
燐のまん丸の蒼い瞳が俺を捉えて離さない。
手を伸ばしていた燐は動かない俺を見て目を細めると、なぞるそうに輪郭にそってすべっていたその手を首の後ろに回した。
唇に触れる湿った温かい感触にキスされたのだと認識する。
次いで俺から深くキスをしたくなるのをぐっと堪え、そっと腕を掴み1歩後退して距離をとる。
まだ話は終わってない。
「勝呂…?」
「俺がこんくらいのことで嫌いになると思うたんか」
「え、じゃあ…!」
先を聞く前に「でも」と遮り言葉を続ける。
「怖かった」
「怖い?」
「サタンの息子だって知った時、おまえが遠くなったようで怖かったんや」
まるで知らないやつみたいで怖かった。
知ってるはずのおまえじゃなかった。
「俺は思い上がってたんや。おまえのこと、全部知ってるつもりになってた」
そんなのただの思い込みで。
「でも知らないことばっかで、悔しかった」
俺は臆病者だ。
認めたくなくて、避けて、逃げて。
避けられる燐の気持ちなんて考えず、自分勝手な行動した。
それでどれだけ燐は傷ついたのだろうか。
周りからの非難に、支えて欲しかったはずなのに。
それで志摩が燐を支えているのを見たらキレて独占欲をあらわにさせて。
「俺は失望されるくらいのことをした。燐が俺を嫌いになってもおかしくないくらいのな」
「そんなことない!そんなのありえねぇよ…。言わなかった俺が悪い」
項垂れる俺に燐は優しく額にキスを落とした。
そして、瞼、鼻、頬とさまざまな箇所にキスをする。
「今からでも俺のこともっと知ってよ。だから、ヤろうよ」
「は!何言って…!」
黒いベルトを手に取りすばやく引き抜く。
流石に身を任せたままなのは不味いと思い身をよじらせるが、制止させようと伸ばした手はあっけなく捕まって意味をなくした。
こいつ力が強いんだっけ。
本気で抵抗されたら無意味なんだろう、と頭の隅でぼんやり思っていううちにいつの間にかチャックは開けられ、下着から俺のソレ取り出すと躊躇いも無くそれを口に含んだ。
生暖かい口内と粘液の感触に嫌でも体積が増すのが分かった。
「っ…馬鹿やめろよ」
「ひはだ(いやだ)」
俺の股間に顔を埋め、含んだままもごもごと言った。
先端を舌で舐めまわしながら、時々玉袋を優しく揉む。
そして、喉の奥まで含むと口内で強く圧迫しながら扱いた。
感じる刺激に目がちかちかする。
口から離しはぁ、と甘い吐息を漏らすと上目使いで俺を見た。
「勝呂の全部、知りたい」
かっと全身の血が顔に集まったような錯覚に陥った。
そんぐらい、顔が熱い。
それを見た燐は可笑しそうにけらけら笑った。
ああ、もう、お前のせいなんだからな!
110813
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京都弁についてはわからないので勘弁してやってください…
雪男の空気具合ははんぱないですw
勝呂に燐呼びっていいよね、でも燐が竜士っていうのはなんか変でやめた。笑
初めて?の勝燐楽しかったです。
リクエストありがとうございました!
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