※流血表現注意




鉄の臭いが鼻に付く。
何発殴っただろうか。
たしか十発を超えたあたりで数えるのをやめた。

どうして思い通りにならないのだろうか。
燐はボクのなのに。

受け入れてよ。
ほら、またひとーつ。
ドゴッ。

骨の軋む音、臓器が潰れる音。
あとは何の音だろう。
とても心地良く響く。
でもやりすぎちゃいけない。
これはお仕置きだから、殺さないように手加減をしなければ。


眼下に横たえる燐の顔を覗き込む。
すでに身体中は青アザだらけで血の赤と一緒に彩る。
そして鼻からはだらしなく体液をたらし続けている。
いや、全身か。

それでもその姿は美しく、芸術品のようにも感じさせ、ボクを興奮させる要素でしかなりえなかった。

「ほら、抵抗できないよね?僕より弱いくせに、
悪魔の力がなきゃ何もできないくせに」

首根っこを鷲掴みにし、だんだんと締め上げていく。
苦しくなる呼吸に燐は何かいいたげなぐもった声をあげ、逃れようとする。

構わず力を込めれば、腕に力なんて入らず抵抗も無に等しくなる。
そして、酸素を求めるようにぱくぱく口を開閉するだけだ。

そろそろ死んじゃう。
ぱっと、手を離せば身体を弓なりに反り、咳とともに血反吐を散らす。

「……ごほっ…がはっ」

「ねぇ、まだ駄目なんですか?」

未だに咳き込む燐の頬を両手包むようにして、視線を強制的に合わせさせる。
生理的なものだろうが、燐の瞳は涙で潤んでいた。

「ぐ…うるせぇ…」

拒絶するように顔を背けられる。
あからさまな拒絶に胸の奥がチクリと痛む。

ねぇ、なんで?どうして?
素直に言うことを聞いてくれないの?

「…燐が悪いんですよ?」

ほら、愛を込めてまたひとーつ。

僕はこんなにも愛しているのに。
どうしてそんなに怖がるの?

ねぇ、どうして?
あと何発殴ったらいいの?





あと何発殴ったら愛は伝わるの?





110503
.........................

ぼこり愛。

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