※シイナ様リクエスト
嫉妬する雪男で雪燐♀
「それで、勝呂達と勉強会やったんだ!」
意気揚々と明るい調子で本当に楽しそうに姉さんは勝呂君達との出来事を話した。
中学の時は友達もろくにおらず、いつも一人でつまらなさそうにしていたことを覚えている。
姉さんに良い友達ができるのは嬉しいことだ。
しかし、毎日楽しそうに語る兄さんを見ていると素直に喜べなくなってくるのだ。
もやもやして、上手く頭が働かなくなる。
「おい雪男、聞いてるのか?」
「あ、ごめん兄さん。ぼうっとしてた」
「なんだよー。あ、もしかして腹へってるのか?」
原因はそうではないが、少なからずお腹は減っていたのでうんと軽くうなづいた。
「姉ちゃんが元気になるようにスタミナ料理作ってやるよ!」
そう言って立ち上がり、カウンターの向こうに消える。
僕も姉さんを追ってキッチンに向かった。
冷蔵庫の中を見ながらぶつぶつと独り言をしていたかと思うと、鍋を用意しなにやら下準備を始めた。
しばらくその後ろ姿を眺めながら、今日の出来事を思い返した。
姉さんよりも豊満な胸。
告白に恥じらう姿。
彼女たちは好き、大好き、愛してる。
好意を全力で僕に向けてくれた。
どうしたって姉さんよりもいいはずなのに、僕は告白を断った。
その瞬間に浮かんだたしかに姉さんの姿で。
あーあ。
ここまでくると、本当に重症だ。
全部姉さんと比較してしまう。
彼女たちより可愛くない言動。
勝ち気で男らしい姿。
姉さんが示す好意なんて微々たるもので。
いつもわかりにくい。
でも、
「兄さん」
「なんだ?まだできないよ」
「さっきの話、嫉妬した」
「………は?」
「すごくむかつく」
「ちょっと雪男?どうした?」
「…なんでもない」
やっぱり好きだなあ。
111222
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