※さくら様リクエスト
二人で燐取り合いするアマ→燐←メフィ
「燐!」
草陰から花束を持って突然現れたアマイモンに燐はひどく驚くこともなく、めんどくさ気に目を向ける。
最近何処からともなく現れるなんてことは日常茶飯事であるからだ。
(アマイモンが出た、ということは…)
お決まりのパターンであろうと次に起こることを予想する。
「アマイモン!探したぞ!」
予想的中。
メフィストが現れ、取っ組み合いを始めた。
2人の様子をぼうっと眺めていると、瞬間どろんとコミカルな音とともに2人の姿はどこにもなかった。
「ほんと仲良いんだな」
どこかに消えてしまった2人にそう呟くと燐は何事もなかったかのように寮に向かっていった。
◇
メフィスト邸のある一室。
「どうして邪魔するんですか!これで何回目だと思ってるんですか」
「通算38回目だが?」
悪びれる様子もなく、ただ肩をすくめてみせた。
38回の告白失敗。
これで激昂しない者はいないだろう。
アマイモンも例外ではなかった。
「そうじゃない!どうして!」
飄々とする彼にアマイモンは怒りをぶつける。
頭が沸騰するようで、くらりときた。
「あれは私のものだ」
「違う。燐はものなんかじゃないです!」
メフィストは笑みを張り付けていた顔は口だけはそのままに、瞳が細められた。
部屋のなかだが体感温度が1℃くらい下がった気さえした。
「なあ、アマイモン。これ以上口答えしたらどうなるかわかっているんだろうな?」
「…っ!」
(兄上は、気持ちを伝えることさえ許してはくれないのか)
ぜんぶ、空回り。
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