※シュラ目線
燐はでません。






ある仮説を立ててみよう。
奥村雪男は奥村燐のことが好きである。


「はぁ…」
柱に身体を寄りかかる雪男は深いため息を吐いた。

「どうしたー?ビビり眼鏡」

にゃはは、と笑いながら声をかければ不機嫌顔で睨まれた。
どうやらご機嫌ななめなようだ。

「うるさい、あっち行ってください」

シッシッと軽く手で払われるが、意に介さず返事をする。

「なんだよー、あたしとお前の仲じゃにゃいか」

「どんな仲ですか…」

おや。
これは思ったより重症なようだ。長い付き合いのせいか、なんとなくやばい日かどうかかるようになっていた。
今日はその日だ。
一応は自分も雪男のストレスの元の一部だとは承知しているが、それが原因ではない。
それは決まって燐に纏わる事である。

すると、ぽつりと雪男の口から言葉が漏れた。
尋ねているのか、ただの独り言なのかわからないくらいに、それは弱弱しいものだった。

「シュラさんは、禁断な果実があったら食べてしまいますか?」

重々しい雰囲気に雪男に視線を移せば、顔は俯き表情は窺い知ることはできなかった。
そして、またぽつり、と漏らす。

「それは美味しいことはわかってて」

「おまえは食べたのか?」

「いえ、禁断、ですから。駄目じゃないですか」

諦念を含んだ声音で、雪男きっぱりと断言した。

「やっぱりおまえは真面目ちゃんだな!」

「それでも、越えてはならない一線ってあると思うんです」

「でもな、それは禁断じゃないかもしれないぞ?周りが禁断だと決めつけているだけで、その果実はおまえに食べられることを望んでるかもしれない」

「それはただの希望ですよ」

「全く頭が固いにゃ〜!全ての物事にはさまざまな見方があるんだよ」

頑なに否定する雪男にじれったくなり、顔を寄せて詰め寄れば眉の皺を深くして掌で顔を押し返された。

「おまえは1つの面しか見てない可能性だってあるんだぞ〜」

構わず言葉を続けながら、「やっぱりまだガキだな」と言いながら乱暴に頭を掻きなでればより皺を深くした。
右手を腰の辺りに持っていったかと思えば、愛用の拳銃を取り出して躊躇する身振りも見せずにアタシに向けて発砲する。

実力から当たることは無いと確信しているのかもしれないが、室内で発砲だなんて危ないだろうとぼんやり思った。

「ひゃー、怖い怖い」

口ではそう言っても余裕にひらりと交わしたアタシは、雪男の周りをくるくる回ってみせた。
口笛を吹き、はやし立てれば、

「シュラさん…?いい加減にしてください」

にこりと、笑顔で再び銃を向けられる。
勿論、目は笑ってなどいなかった。

「そうそう、その調子♪」

まったく、人が折角アドバイスをしてやったのに。
面白そうに目を細めると、呆れたのか雪男はまた息を一つ吐いた。


きっと期待に添えようと『いい子』になりすぎて。
我慢ばかりを覚えて、わがままができなくなってしまって、素直に欲しいものが言えない子になってしまった。

とか、思ったりするわけで。
でもまぁ、全部仮定の話です。



110608
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すみません、よくわからない話になった。
これは反省してる。
ただ雪男は燐が好きだけど背徳感とかあって素直に気持ちをいえなくて。
でも燐も雪男が好きだとシュラは知っていて〜みたいな。

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