煌々と輝く月が寝静まる街を見守る中、今日もアマイモンは燐の部屋に向かう。
何時もと同じ午前2時。
こうするのは何度目だろうと指折り数えてみたが途中でわからなくなり、早々に諦めた。


燐の弟である祓魔師が不在であることは確認済みであり、忍び込むことなどアマイモンにとって朝飯前である。
静かに気配を消して闇の中に溶け込めば、気付く人なんているはずがなかった。
そうこうしているうちに、602号室前まで辿りつき、慎重に扉を開ける。


寝息に視線を向ければ、気持ちよさそうな顔で眠る燐の姿があった。
「すきやき…」などと寝言を言う燐はすきやきを食べる夢でも見ているのだろうか。
身体全体の筋肉が弛緩していて、そのだらしない様にアマイモンの強張る表情が自然と綻む。


ベットの傍らに立っても、燐の呼吸は一定で起きる気配はないようだ。
アマイモンはそっと両手を伸ばし、燐の首に手をかけた。
そして、じわじわと首を締め上げようした瞬間ぱちりと、燐が目を見開いた。
互いの視線がぶつかり合うが、どちらも逸らすことはしなかった。



「また来たのか」


燐はこの奇妙な状況にもうろたえず、ただアマイモンを見据えて言った。
初めて殺そうとした時は、ひどく驚いて飛び起きたりしたのに。
そう思うとアマイモンは少しつまらないと思った。



「ハイ、今日も殺し損ねました」

「殺す気なんて無いくせに」

「殺したいです」

「はは、でもお前なら殺されてもいいかも」


からり、と笑いながら燐はアマイモンの手を首からほどき、手を絡めて「冗談」と言い、また笑った。








「また明日も俺を殺しにこいよ」






110528
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短っ。
毎夜殺しにやってくるアマイモンを快く迎える燐とかよくわからなくなった。
両思いということで。笑

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