※やな様リクエスト
日替わりで燐を共用するアマ燐メフィ

事後あります。






書類に注いでいた視線を上げれば派手にデコレーションされた印のついたカレンダーが目に入る。
今日のうちに何度見返しただろう、まるで遠足前に浮き足立つ小学生のようだと思ってメフィストは苦笑を漏らした。


「燐がもうすぐ来るんですね」


言葉に出せば、自然と頬が緩んでしまう。
たった一昨日会ったばかりなのだが、遠い出来事のように感じられる。
メフィストは細くあまり骨ばっていない燐の身体を掻き抱いて、早くぬくもりを感じたいと思った。

まずは顔中にキスの雨を降らして、唇を割りさき温かい口内をじっくりと時間をかけて味わう。
それから、首筋から胸の突起へと唇を滑らせる。
勿論、赤い花を燐の身体に咲かせるのを忘れずに。


想像しただけで下半身に熱が集まっていく気がした。
いけないと、頭を振りかぶり仕事を再開する。

それでも燐のことが頭から離れず、ちらちらと頭の中をちらつく。
考えないようにしようと思えば思うほど、燐は自己主張を激しくした。

今日は駄目そうだとメフィストは踏ん切りをつけて、1つ息を吐く。
窓越しに空を見上げれば、すでに星が輝き始めていた。


「そろそろですかね」



先ほどと変わらず、メフィスト顔はだらしなく緩んでいた。











想像していた時よりも、やはり生の身体は興奮して余裕が無かったように感じられた。
否、失神させてしまうほどであるから、それは明白なんだろうと一人メフィストは納得した。
自分の方が何十年何百年も年上なはずなのに、振り回されっぱなしである。
くく、とたまらず笑いを零せば傍らに寝転がる燐は怪訝な顔をメフィストに向けた。


「あんだよ?気持ち悪い」

「気持ち悪いとは心外ですね」


全裸で申し訳ない程度に身体をシーツで覆う姿はひどく官能的だ。
白いシーツが燐の肌に映えて美しいと思えるほどである。

思わず後ろから抱き締めた。


「まだヤりたんないのか?」

「まだしたいのは本当ですがそうじゃありません」


何、と燐は顔を向けて応えた。

こうして関係を続けていることから見ても、身体の相性はいいようで毎回とても楽しみにしているのは真実でもある。
だが、快楽の面だけでこんな関係を続けているわけではない。
メフィストは燐のことが愛しくて愛しくてたまらないのだ。
できることならずっとこのまま一緒にいたい。


「今日も泊まっていきませんか?」

「今日?あー、今日はアマイモンのとこ行かなきゃだから無理だ。お前も知ってるだろ?何でわかりきってるのに聞くんだよ」

「いえ、ただ言ってみただけです」


わかっていたが、ずきりと心臓が痛んだ。


ひと時でも燐を独占できるだけで以前は満足なはずだったのにわがままになったものだ、とメフィストは自嘲気味に笑った。




(私は燐の相手の一人でしかないですよ)




確認するように頭の中で反芻した。
反芻する度に、その言葉は心臓をきりきりと締め付けた。




それでも、忘れることは許されないのだ。





110527
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