※2・3万打お礼小説です。
悪魔兄弟×燐で京都に観光に行く話し。
オマケは雪燐(会話文のみ)
それは突然だった。
「観光に行きましょう」
「は?」
がしり、と強く腕を捕まれ、そのままどこかへと向かって歩くアマイモンに燐は素っ頓狂な声を上げた。
もつれて転びそうになるのを防ぎつつ、アマイモンの行く手を阻めば、アマイモンは歩む足を止めて、視線を燐に移すと尋ねた。
「兄上から貰った無限の鍵があるから、どこへでも行き放題です。燐はどこがいいですか?」
「え、京都とか?」
ふと祓魔塾のクラスメイトである三人組が浮かび、そのまま口に出した。
そして、アマイモンのペースに乗せられていることに気付き、慌てて疑問を投げかける。
「っていきなりなんなんだよ!」
「だからデートするんです」
淡々と話すものの、どこか嬉々とした表情を浮かべるアマイモンに、燐は顔が熱くなるのを感じた。
「デ、デートっておまえな…」
「ボクは燐とデートしたいんです」
「え」
「イヤですか?」
アマイモンは掴んでいた手をするりと燐の頬へ持っていき、優しく撫でた。
その様は、まるで捨てられて子犬のよう懇願するようで、良心が痛み燐の心がぐらりと揺れた。
同意するような言葉が喉まで出掛かった時、それを遮る声が辺りに響いた。
「おまえにそんなことをさせるために持たせたんじゃない」
突然現れた声に二人はすばやく振り返えればピエロのような格好をした―――メフィスト・フェレスが立っていた。
メフィストの発言に、あっさりほだされかけていた燐は冷静になり、ハッと息を飲んだ。
「兄上」
アマイモンはメフィストを忌々しそう見詰めると、小さく舌打ちをした。
恐らく気付いているのだろうが、メフィストは気にも留めずにアマイモンから無限の鍵を奪い去るとステップを踏みながら扉の前に立った。
「奥村君とアマイモンでは不安ですし、監視が必要ですからね」
「なので私も同行します」
「はっ?」
燐は再び素っ頓狂な声を上げた。
◇
「「おお〜」」
日本の伝統の残る町並みに燐とアマイモンは感嘆の声を漏らした。
「京都凄いです。兄上、アレは何ですか?」
「生八つ橋です。米粉、砂糖、シナモンを混ぜて蒸し、薄く延ばしたもので…」
説明を終える前に、すでに店先に並ぶ生八つ橋をもぐもぐとほおばる二人にメフィストはため息を漏らした。
「お金を払うのは誰だと思ってるんですか」
「メフィスト!」「兄上!」
元気よく返事をする二人に対し不平を漏らすものの、渋々と財布を出しきちんと代金を払うメフィストは私が居なかったらどうなっていたんだと頭を痛くした。
「どこか行きたい所はありますか、奥村君?」
街をぶらぶらし、さまざまな食べ物を食べた所で、メフィストは提案した。
「んー、俺京都のこと全然わかんないからなぁ…メフィストのオススメでいいぞ?」
「わかりました。ならば、地/主神社はどうでしょうか?有名な清/水寺も見ることができますし」
「それなら俺も聞いたことがあるぞ!たしか、恋愛成就だっけ?好きな人でもいるのか?」
にやりと不適な笑みを浮かべて言った。
「それは秘密です♪」
ちぇーと口を尖らし、残念そうに拗ねる燐を見るメフィストの視線は熱を孕んでいたことを燐は知る由もなかった。
◇
先に清/水寺を参拝し終り、地/主神社にやってきた三人はさっそく参拝しようと拝殿を目指した。
メフィストとアマイモンは燐を挟んで並んで立つと、おのおの賽銭を投げ入れ順番に賽銭を投げ入れた。
「俺正しい参拝の仕方わかんないんだけど…」
「ボクもわかりません、兄上」
「では、私と同じようにしてくだされば大丈夫ですよ」
呆れつつ、メフィストは2回礼をし、2回柏手を打った。
それに会わせてアマイモンと燐は同じようにメフィストの動きを真似た。
「そしたら、祈ればいいんですよ」
二人が手を合わせて目を瞑っているのを横目で確認し、さあ祈ろうかという時に再びちらりと燐を盗み見れば、燐越しにアマイモンと目が合った。
互いに瞠目し一瞬動かなかったが、先にアマイモンは何事も無かったかのように視線を拝殿に移すと目を閉じて祈り始めた。
視線を切らずまだ見ていたメフィストは考えるように目を細めると、アマイモンに習うようにワンテンポ遅れて視線を戻し目を閉じた。
悪魔が神だのみなんて馬鹿馬鹿しい。
それでも、神にでさえ縋りたくなる。
そんなことを思いながら、二人の悪魔は同じことを願った。
( 。)
110605
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2・3万打ありがとうございました!
多くの方が来てくれているようでとても嬉しいです。
もっと書きたいことがあったのですが、色々と省きました…。
書けなかった雪燐(オマケ)
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