どうしてこんな関係になってしまったのだろう。



関係が始まったのは俺の些細な一言からだった。



中学に上がり、性に関して興味を持つようになった。
それは雪男も同じなようで、一緒に父のものをこっそり盗み見していた。


その日もいつも通り父の部屋から持ってきたアダルトビデオを見ていた。

そんな時俺はぽつりと漏らした。


「セックスってどんな感じなんだろうな。やっぱり気持ち良いのかな」

「僕にはわからないよ。でも気持ち良いことなんだろうね」

「やっぱなー。あーやってみたいなー」

ビデオから視線を外し、ごろりと床に寝転がる。
すると床に胡座をかいて座る雪男と目が合った。

雪男はいつもの笑顔で微笑んだ。
「じゃあ、僕とやってみる?」

俺は無意識に頷いていた。




それが始まりだった。




なんて馬鹿なことをしてしまったのだろう。


あの時頷かなければ変わっていただろうか。


今日も俺の隣は冷たい。
溢れでる涙は頬をつたい、シーツを濡らす。

まだ向かいのベットで静かな寝息を立てて眠る雪男の姿があったので、布団にくるまり守るように自分を抱いて声を出さずに泣いた。

「………ひっく…っ」

カーテンの隙間から差し込むのは月明かりだった。

まだ起きるのには早い。
目が腫れてないといいな、そう思いながら目を閉じた。






こんな関係はもう終わりにしよう。
そう告げようと夢うつつに誓った。






110506
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