※事後
ピピピという電子音で目が覚めた。
カーテンの隙間から差し込む淡い光が眩しく、思わず目を伏せる。
もやがかった頭では身を起こすことさえ億劫で、しばらくの間ぼうと遠くの方を見詰める。
しだいに頭がクリアになっていき、さぁ起きようかという所で腰が鈍い痛みを主張し始めた。
ずくり、という身体の奥に響く痛みに顔を歪める。
「雪男のやつ激しくしやがって」
舌打ちをし、この場に居ない弟のことに思いを馳せる。
俺と雪男は所謂セックスフレンドという関係だ。
非生産的なこの行為はただ快楽を求めるだけであり、互いの愛を確かめているわけではないのだ。
ただ気持ち良いからするだけ。
それに身体の相性はいいようで、恥ずかしいけれど、毎度気絶してしまうくらいだ。
別に俺が淫乱だとかそういうんじゃないぞ、決して。
きっと、いや、絶対雪男が上手すぎるんだと思う。
否、そう考えないと男としてのメンツに関わる。
雪男は気絶した後しっかりと後始末をしていてくれ、エチケット的なことに関して何等不満はない。
むしろやり過ぎなのではとさえ思う。
我ながら出来た弟だと思う。
しかし、最近は妙だ。
雪男の行動に対して不満がないはずなのにもやもやとした気持ちがついて回る。
今までは別に自分以外の温かさの無い冷たいシーツに何も感じなかった。
別にわざわざ狭いベットに男二人で寝る必要はないし、近くに雪男自身のベットがあるのだから。
だが、冷たいシーツに何故か泣きたくなり、ちくりと胸の奥が痛くなることが増えた。
今だってそうだ。
ズキズキ。
ズキズキ。
いくら経っても胸の痛みは消えることは無く、じわじわと身体中を侵食していく。
泣くほど痛いわけではないのに目頭が熱くなり、思わず空いた手で胸の前をぎゅうと握り締める。
痛みは若干和らいだ気がしたが完全に消えることは無く、痛みから目を反らし頭の隅に追いやることしかできなかった。
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110506
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短いorz
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