企画サイト不機嫌マイハニー提出用。
雪男とすでにデキてます。









微かに膨らむ胸元。
骨張ってなく、細く柔らかい腕。
そして、下半身の違和感。


「な…なんじゃこりゃああああああああ!!!」

驚愕の色に染まった声が寮中に響き渡った。








「兄さん…女の子だったの?」

「そんなわけあるかメガネ!!」

「ふふっ、冗談に決まってるじゃないか」

こいつ…!!
兄がこんな状態だってのに、暢気に笑いやがって。
メガネを狙い拳をぶつけても受け止められ、イライラは募るばかりだ。
普段でも敵わないのに、女という非力な状態で敵うはずがないのだ。

毒づき、地団駄を踏む俺を見かねたのか慰めるように雪男が呼ぶ。

「悪かったよ」

まず、状況を整理しよう。
そう言って説明を求めるように視線をよこす。



「朝起きたら女になってた」

「…それだけ?」

「それだけ」

はぁ、とため息を吐くと少し考えるようなしぐさをする。

「…じゃあ、何か変なものでも食べなかったの?」

「うーん」

頭を捻り、記憶の糸を手繰り寄せる。
昨日は祓魔塾が終わってからはどこへも寄らなかったはずだ。
真っ直ぐ寮に帰ろうとしたら、

「あ」

「何?思い当たることでもあった?」

「そういや、メフィストに会って飴もらった」

他人事のように呟くと、雪男はもう一度ため息を吐き頭を抱える。

「兄さんってほんと馬鹿だよね」

「なんだともういっぺん言ってみろ!」

「原因はそれしかないじゃないか」

「え…そうなのか!」


「あのピエロめが…!!」

騙されたいことが悔しく、肩をわなわな震わせ唇を噛む。
たしかに今思えば明日が楽しみですとかなんとか言ってたような。

「まぁ、フェレス卿がしたんなら大丈夫なんじゃない」

明日には戻るでしょ、と無責任な言葉を残し扉の向こうに消えた。

「他人事だと思って」

閉まっているドアに向けて言葉を放つ。
返事が返ってくることなんてなく、しん、と静寂が訪れるだけだった。










雪男普段通りだった。
俺は一日中そわそわしっぱなしなのに。
折角女になったのに何もしてこない。
雪男だって男なんだから、こんな俺の骨張った身体より柔らかいほうが好きに決まってる。
だからちょっといつも以上に近づいてみたり、ベタだが胸を押し付けて見たり。

なのに興味なさげで。
なんかイライラしてきた。

いつもと変わらないし。
意識もしていないのか。

「なんでさっきからずっと怒ってるの」

「別に」

祓魔塾の授業が終わった後、自然と俺と雪男は教室にとどまり、こうして対面している。
教卓に立つ雪男は自然と椅子に座る俺を見下ろす形になり、なんだか腹立たしい。
不機嫌なオーラが伝わったのか、雪男が尋ねてきたが素っ気なく返す。

「またそうやって拗ねて」

「…俺、女として魅力ないんだろ」

「いきなりなに言ってんの。僕は兄さんだから好きなんだ。男とか女とか関係ない」

さらりと、恥ずかしげも無く言ってのけた雪男に瞠目し、じんじんと顔が熱くなるのを感じた。
悟られたくなくて、自然を装って雪男から顔をそらす。

「ふーん」

「けど一応僕も男だから女の人には興奮するよ。」

「え、でもシュラの裸見ても別に普通だったじゃんか」

「だから全部、兄さん限定なの」

兄さんだから、
キスしたくなるし
抱き締めたくなるし
気持ちを伝えたい、

興奮もするしね、と最後に付け加えた。
それは聞きたくなかったが。

ふと気がつくと、傍らに陰がかかっており、視線を上げれば雪男が机を挟んで目の前に立っていた。

「それに、今日は意識しないようにするのに精一杯だったんだよ」

「なんだよそれ…」

雪男が頭を撫で、耳に触れ、頬にするすると手を下ろしていく。
俺はただ固まるだけで雪男の動作を目で追うことしかできなかった。
触れられたところがじくじく熱い。
触れられただけで、芯がぐずぐずにとけて動けなくなる。

「それなのにずっとこっち見てそわそわしてるし。胸押し付けてきたりさ」





「誘惑してるの?」

雪男の手が、俺の唇に沿ってなぞる。
身体がびくりと、大げさに跳ねて死ぬほど恥ずかしかったが、そらすことができなかった。
雪男の瞳が俺を射抜いて離さない。


「ば…、か。ちげぇよ…!」

「可愛い」

唇から顎に手を持っていくと、雪男は屈んで俺に触れるだけのキスをした。




顔が熱い。
どきどき心臓が煩い。






「馬鹿、見んな…!」

普段より小さい身体を抱きすくめられる。

「やだ。顔見せて」

どきどき、どきどき。


心臓の音が雪男に聞こえそうなくらい煩かった。







静まれ!静まれ!




110627
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にょたとかあんまり書かないので楽しかったです。
後天性にょた好きです。
メフィとか登場させたかった…な!
男の子でも女の子でも雪男にとって燐君はお姫様ですね^^

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