「はい!これどうぞ!」

「……本当に持ってきたのか」

 箱いっぱいに詰めた酒瓶をアルハイゼンの家まで届けると、玄関の扉を半分だけ開けたアルハイゼンが太陽の光に照らされて、眩しそうに顔を顰めている。
 先日の諸々のお詫びにとアルハイゼン御用達の我が家の酒をたっぷりプレゼント。どこに置けば良いかとアルハイゼンを見ると、アルハイゼンは私の手から酒の入った箱を受け取った。

「君の家からここまでこれを運んでくるとは…重かっただろう」

「慣れてるから大丈夫」

 そうか、と言うとアルハイゼンはチラリと室内を見てから「上がっていってくれ」と私を家へと招き入れた。できれば人を家に入れたくないような雰囲気を醸し出してるアルハイゼンが上がっていけなんてどうしたんだろうと恐る恐る足を踏み入れると、リビングに突っ伏しているカーヴェを見つけた。

「カーヴェ!?どうしたの!もしかして…また酔い潰れてる!?」

「え…?わぁ!ナマエ!君こそどうして此処に!?」

 カーヴェは目をごしごしと擦ると、私を見るなり慌てて髪の毛を整えた。よく見るとカーヴェの目の下には薄っすら隈ができているし、何だかやつれているような気がする。酒を飲み過ぎてこうなっているわけではなさそうな彼の様子にそれならどうしたのかとまた心配になってくる。ハラハラと自分を見る私に気が付いたのか、カーヴェはバツが悪そうにあはは、と笑って頭を掻いた。

「設計図を書いていたんだ…でもなかなか良い案が浮かばなくて…」

「あっ、仕事中だったんだ…ごめんね。お邪魔して…」

「仕事なら自室ですれば良いんだ。リビングでうんうんと唸られる俺の身にもなるんだな」

「…なんだと!?」

 どこからかゴングの音がしたような気がした。声を荒げながらアルハイゼンに抗議するカーヴェと、それをのらりくらりと交わしつつも嫌味を織り交ぜてカーヴェに応戦するアルハイゼン。この二人、よく一緒に暮らせるな。正反対だからこそ成り立つ何かがあるんだろうか。そんな二人を眺めながらそんな事を考えていると、もうすぐ仕事の時間である事に気が付いた。

「あっ私もう帰るね!」

「もうこんな時間か…仕事かい?無理せず頑張るんだよ」

 眉間に皺を寄せアルハイゼンと口論していたカーヴェの表情がパッと変わり笑顔になる。ありがとうとカーヴェに手を振って玄関へと向かう。扉に手を掛けようとした直前、伸びてきた手によって扉が開かれる。驚いて振り向くと、アルハイゼンが扉を開けてくれていた。

「ありがとう」

「……え?」

「酒だ。まさかあれだけの数を君が持ってくるとは思わなかった。当分酒場まで買いに行く必要がなさそうだ」

「…………なら今度、カーヴェと三人で飲もうか」

「断る」

 ふふ!と私が笑うと、アルハイゼンも目を伏せて少し笑った。アルハイゼンからお礼を言われたのは初めてだ。……今までお礼を言われるような事をしていないだけなんだけど。
 じゃあね!とアルハイゼンにも手を振って私は二人の家を出た。

 ◇
 
 これ見てすごいでしょ、と目の前で顔を赤くしながら指輪が消えるマジックを見せる男に愛想笑いを浮かべる。男が指輪を消すと、その取り巻きの男達が「おおー!」と大袈裟に声を上げて手を叩く。ど、どうしてこんな事に…と、遡る事数時間前。
 最近酒場では他国からの観光客、輸入業者、その他諸々の客で溢れかえっている。酒の納品時にバタバタと走り回る店主を見て忙しそうだなあと思っていると、今日を含め三日間で良いから店を手伝ってくれないかと言われてしまった。仕事が終わった後の夜の時間なら空いているので、別に大丈夫だけれど…と返事をした直後にエプロンを渡され、何種類にも及ぶ酒のレシピが書かれた紙を渡された。手伝いといっても注文を聞きに行ったり皿洗い程度かと思っていたが、こんなガッツリ酒を作り提供する事になるなんて…幸いにもモンドで培った知識があるおかげで、なんとか酒を滞りなく作る事はできているが、バーカウンターで仕事を行っている事により、こうして酔っ払った客に入れ替わり立ち替わり絡まれ続けている。
 永遠にマジックを披露し続ける男を筆頭に居座るこの集団が着ている制服には見覚えがある。恐らく、教令院の関係者だろう。指輪を消したかと思えば、お次はトランプを取り出して数字を選べと言い出した。め、めんどくさー!と心の中で叫んでみるが、酔っ払いに伝わるわけもなく、愛想笑いを浮かべながら適当なカードを指定する。すると、そのカードが男のポケットから出てきて、取り巻き達はまたしても「おおー!」と声を上げる。一応乗っかっておこうと「すごーい!」と手を叩くと、男がそのトランプを私に差し出した。

「ん?」

 トランプなんかもらったところでどうすればと首を傾げると、よく見るとその裏面には住所らしきものが書いてある。男は身を乗り出すと、私に顔を近づけて「この後ここに来てくれ」とニヤニヤしながら囁いた。

「け、結構です……」

 我慢の限界が来てカードを男に返すと、まさか断られると思ってなかったのか、男が顔をより一層赤くさせて勢い良く椅子から立ち上がった。騒ぎになる、最悪…とランバドさんごめんなさい…とこの後の展開を想定してぎゅっと目を瞑るが、いつまで経っても男の怒声が聞こえてこない。あれ?と思いゆっくり目を開けると、何故か私の目の前にはアルハイゼンが居た。

「あれっ、アルハイゼン?」

「いつものをひとつ」

 いつもの?アルハイゼンのいつものなんて勿論私は知らない。いや、それよりさっきの彼らはどこに?すると、男とその取り巻き達はバーカウンターから離れ、何故か壁際に集まり、おどおどとした様子でアルハイゼンを見ていた。

「…なんだ?」

 男達をアルハイゼンが鬱陶しそうに見る。男達は「なんでもありません!アルハイゼン書記官!」と声を裏返しながら一階へと走って降りて行った。

「…アルハイゼン書記官?」

「なんだ」

「いや、呼んだわけじゃなくて…アルハイゼンって書記官なの?」

「そうだ」

 そうだったのか。書記官というものがどれくらいすごいのかいまいち分からないが、あの教令院で役職を貰っているという時点ですごい事なのだろう。さっきの男達は見るからにアルハイゼンにビビっていた。アルハイゼンは教令院内では有名なのだろうか。

「……ありがとう、助かったよ」

「偶然居合わせただけだ」

「どうして酒場に?お酒は家に沢山あるでしょ?」

「酒は君のおかげで沢山あるが、生憎今の俺の家には安らげる場所がないんだ」

 つまり、またカーヴェと喧嘩でもしたという事か。今朝もまあまあの口論をしていたのに、あの家は男二人暮らしと思えない程騒がしそうだ。

「あっ、いつものって何?良かったら作るよ」

「適当に言っただけだ。そんなものはないよ」

「そうなの!?」

 助けてもらったんだしアルハイゼンの「いつもの」とやらを作ろうと思ったのに…気が付けばバーカウンターのある此処、二階にはアルハイゼンと私だけになっていて、ランバドも下の階でお客さんと談笑している声がする。

「じゃあ、アルハイゼンだけに特別裏メニューで」

「裏メニュー?」

 この店のレシピにはない、モンドで習ったとある酒を作っていく。アプリコットリキュールを使った少し甘いお酒。グラスに注いでそれをアルハイゼンに差し出すと、アルハイゼンは迷いなくそれを口にした。

「……甘い」

「やっぱり?いつもアルハイゼンが飲んでくれてるうちのお酒は辛口だから、たまにはこういう甘いのもどうかなって思って」

 自分が他国で学んできた知識を活用して、こうして人に酒を振る舞うのは誇らしいのと同時に少し恥ずかしい。照れ臭くなって俯くと、アルハイゼンが何かを言おうとして口を開いたような気がしたが、それと同時に階段をドタバタと上がってくる音に、さっきの奴らが戻ってきたのかと慌てて顔を上げると、階段を上がってきたのは奴らではなく、目くじらを立てたカーヴェだった。

「全く!どうして君はこうも僕の行く先々にいるんだい?僕はここの特別席で飲むのが好きだと言うの、に…ナマエ!?どうしてここに?」

 嵐のような勢いで現れたカーヴェをアルハイゼンと共にポカンと見ていると、私の存在に気付いたカーヴェが今朝と同じような反応をしている。そして、またしても慌てて髪の毛を整えると、一度咳払いをしてアルハイゼンの二つ隣の席に何事も無かったかのように腰掛けた。

「何で君がバーの中に立っているんだ?いつからここで働き出したんだい!?」

「これには事情があってね…」

 事の経緯を簡単に伝えると、カーヴェは「そうだね、この時期の酒場はよく混んでいる」と肩を竦めた。幸いにも今の時間は混んでいないが、明日と明後日もさっきのような酔っ払いに絡まれるような事態が起きるのだと思うと少しうんざりする。二人に気付かれないように小さく溜め息を吐くと、アルハイゼンは立ち上がり、飲み終わったグラスを私に差し出した。

「悪くない酒だ」

「あっ、本当?良かった」

 思わず笑顔を浮かべると、そんな私達を見てカーヴェが目を丸くしている事に気が付いた。どうかしたのかとカーヴェを見て首を傾げると、カーヴェは「いや」と言ってかぶりをふった。

「俺は帰るが……カーヴェ」

「何だ?…………おわ!」

 アルハイゼンが何かをカーヴェに向かって投げる。カーヴェはそれを慌ててキャッチすると、それを見て「ああ!」と大きな声を上げた。
 それはアルハイゼンが持っていたカーヴェの、キーホルダーが付いた鍵で、まだカーヴェは無くした事に気が付いてなかったのかと内心思っていると、アルハイゼンは目を鋭く細め、呆れた様子でカーヴェを見ている。

「家のベッドよりもスメールシティの床で眠るのが好きなようならその鍵は返してもらうが」

「なっ!そんなわけないだろう!」

 本日二度目のゴングが鳴り響く…かと思われたが、アルハイゼンは喚くカーヴェを無視すると、私の事をジッと見た。

「…妙な客の相手は極力しない事だ」

「え?」

 さっきの男達の事を言っているのだろうか。聞き返そうとしたが、アルハイゼンはスタスタと階段を降りて行ってしまった。そんな彼の後ろ姿を見てカーヴェは「まったく!」と足を組み直した。

 ◇

 翌日、相変わらず酒場は忙しく、慣れない業務に目がまわる。しかし、ラストオーダー間近となると客足も遠退き少しずつ落ち着いてくる。厨房で明日の仕込みをランバドさんがすると言うので、一人で店番をしていると、店の扉が開き、見覚えのある人影が現れた。それは、昨日マジックを披露していた教令院のあの男だ。げぇ!と声を出しそうになったが、気付いてないフリをして挨拶をすると、その男はやはり私がいるカウンターの目の前の席に腰掛けた。

「…ご注文は?」

 営業スマイルを顔に張り付けて注文を聞こうとしたが、男は何も言わない。ど、どうしようー…とランバドさんの助けを借りようかと厨房をチラリと見ると、男が突然小さな声で「昨日はすみませんでした…」と呟いた。そんな事を言われるとは思ってもいなかったから驚いて言葉を失っていると、男は「飲み過ぎていて調子に乗ってしまって…」「後輩達の前だから良い格好をしようと…」と言い訳をし出した。

「い、いえいえ!大丈夫ですよ!」

 肩を落とす男に慌ててフォローを入れると男の表情が明るくなる。なんだ、昨日はただ酔っていただけで案外良い人じゃないか。
 その後、彼は酒を飲みながら自分はアムリタ学院の生徒で、研究が上手くいっていない事などを愚痴り出した。昨日とは違いただのややめんどくさい酔っ払いなだけの彼に胸を撫で下ろす。すると、彼がまだグラスに酒が残っているのに追加で酒と料理の注文をした。なぜ?と思いながらも酒を作り提供し、オーダーを厨房にいるランバドさんへと伝えると、少し酔いが醒めてきたのか、彼がまたしても頭を抱え出した。

「……やはり昨日の自分の行いが許せない。これはお詫びだ…良かったら飲んでくれ」

「ええ!そんな、大丈夫ですよ!」

 彼は先程追加で注文した酒を私へと差し出す。そういう事か、だから残っているのに注文を…お客さんからお酒をいただくのはバーではよくある事だが、臨時で店員をしている私が良いのだろうか?しかし、断ろうにも真っ直ぐな目でこちらを見てくるものだから無碍にできそうにない。一杯くらい良いか、と彼から差し出されたグラスに入った酒をぐいと飲むと、彼が満足そうに笑ったのが見えた。あれ?というかこの酒こんな色だっけ?
 ぐわんと視界が歪む。度数の高いお酒じゃない筈なのに、酔いの回りが早い。思わずバーカウンターに手を付くと、誰かの笑い声がして、私は意識を手放した。

 ◇

 頭が痛い、目を閉じていても分かる。視界がぐるぐると回っている。薄っすら目を開けると、酒臭い吐息が顔に掛かって、反射的に身を逸らそうとしたが、両手、両足が縛られている事に気が付いた。
 真っ暗で何も分からないけれど、誰かが私に馬乗りになっている事なら分かる。背中の感触からして私が乗っているのはベッドだろうか。馬乗りになっている人物が私の頬を撫でる。うっ!気持ち悪い!勢い良く顔を背けると、頭上から舌打ちが聞こえてきた。暗闇に徐々に目が慣れていく。何処だ此処は?そして乗っかってるのは誰?回る視界の中、目が合った其奴の顔を見て、しまった…と思ったがもう遅い。
 私に馬乗りになっているのは酒場にいたあの男で、男は先程までの穏やかさとはかけ離れた、昨日私にキレる寸前の血気盛んな表情を浮かべている。そうか、今日のあれは演技で、私をこんな風にするのが目的だったのか。恐らく男が私に飲ませた酒には何かが盛られていたのだろう。
 ああ、最悪だ。逃げようにも手足が縛られているし、説得しようにも話が通じる相手には見えない。男の手がゆるゆると服の中へと入ってくる。早く何とかしないと!と手足をもぞもぞと動かしていると、男が「大人しくしろ!」と大きな声を出し、どこかからバン!という大きな音がした。男が苛立って何かを殴ったのだろうと目をぎゅっと瞑ると、腹の辺りに乗っかっていた男の重みがふいに消えた。ハッとして目を開けると、気が付けば真っ暗だった視界は明るくなっており、男がベッドの下へと倒れ込んでいる。え?どういうこと?

「妙な客の相手はするなと言った筈だ」

 聞き覚えのある声にベッド脇を見ると、そこには剣を片手に持ったアルハイゼンが立っており、アルハイゼンは私の手足を縛っていたであろう布のようなものを解いていく。

「どうして此処に?ていうか此処何処?」

「この男の家だろう。昨日君が渡されていたトランプに住所が書いてあっただろう」

「ああ…」

 言われてみれば昨日絡まれた時に住所が書かれたトランプを渡されかけたっけ。でもあのカードはすぐに返したし、それになぜその事をアルハイゼンが?私が疑問を口にするよりも前に、アルハイゼンが答えを次から次へと話していく。

「俺が酒場の二階に足を踏み入れた時、君がトランプを渡されているのを見た。その時に住所は記憶した」

「あの一瞬で?」

「ああ。そしてこの男は生論派で禁忌薬剤の研究に手を染めていてマハマトラからも目を付けられている問題児だ。通常スメールでは睡眠剤の輸入は制限されているが、輸入業者が多く出入りするこの時期と酒場で違法取引で睡眠剤を手に入れ、酒に混ぜ、君に飲ませたんだろう。君が飲んだ酒は青く変色していなかったか?」

「……睡眠剤」

 確かに男から渡された酒は青く変色していた。酒に携わる仕事をしていながら情けない。睡眠剤を混ぜた酒は青く変色する。そんな事はこの業界では常識なのに。アルハイゼンも言っていたように、スメールでは睡眠剤の輸入に制限が掛かっている。だからこんな事は滅多に無いと高を括っていた。自分の迂闊さに反吐が出そうだ。自由になった手足を踏ん張って起き上がろうとするが、目眩が酷くて思うように体が動かない。

「あまり動かない方が良い。恐らく通常摂取量の倍の睡眠剤を盛られたんだろう」

 ぐるぐると視界が回るし気持ちが悪い。目をぎゅっと瞑ってベッドの上から動けずにいると、急に体がふわっと浮かぶような感覚がした。

「……はっ、え!?」

 目を開けると、近くにはアルハイゼンの顔。驚いて離れようとすると、いつの間に回されたのか私の体を持つアルハイゼンの手に力が入る。

「落とされたくなかったら大人しくしてくれないか」

 浮いた体に近くにはアルハイゼンの顔。私は今アルハイゼンにお姫様抱っこで運ばれている?それに気付いた途端に一気に体が熱くなる。下ろして!と言おうとしたが、下ろしてもらったところで自分の足で上手く歩ける自信がないし、そもそも下ろしてくれる気がしない。アルハイゼンは扉を蹴破ると、夜道を迷いなく歩いて行く。

「ど、何処に向かってるの?」

「俺の家だ。こんな状態で君を家に帰すわけにはいかないだろう」

「……あの男は放っておくの?」

「マハマトラを呼んでおいた。暫くすれば彼らの手によって捕縛されるだろう」

「…………そっか」

 夜道にアルハイゼンの足音と、虫の声だけが響き渡る。もし、あのままアルハイゼンが来てくれなければ私はどうなっていたんだろう。そんな事を想像するとぶるりと体が震えた。服の中に手を入れられた程度で済んだけれど、もっと酷い、もっと気持ち悪い事をされていたかもしれない。それか抵抗をすれば殴られて、もしかしたら殺されていた可能性だってある。次から次へと嫌な事が浮かんでくる。気が付けば体はブルブルと震えていて、目には涙が滲んでいた。

「……何をされた」

「…な、何もっ…されてない……」

「…間に合って良かった。あの男ならマハマトラから尋問を受けて教令院を追放されるだろう。君にした事も犯罪だ。暫くは牢に入れられるだろうから安心すると良い」

「……うん」

 ボロボロと溢れてくる涙を必死に拭う。静かな夜道に私の嗚咽と、鼻を啜る音が響いている。
 恐怖と安心でぐちゃぐちゃになった心が、アルハイゼンの言葉により少しずつ落ち着いていく。一向に泣き止まない私を見てアルハイゼンは溜め息を吐くだろうかと思ったが、私を支える手にグッと力が籠められただけで、アルハイゼンは何も言わなかった。

「……アルハイゼン」

「なんだ」

「ありがとう…」

 アルハイゼンは涙に濡れて不細工な顔をしているであろう私の顔を見ると、ふっと目を細めて笑った。

「酒の礼だ。気にしないで良い」

 




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