2-1


2.共にする食事のための


 入学式やオリエンテーションに参加し、時間割を組み、キャンパスや新しい街を探索し……4月の前半はそんな風に慌しく過ぎた。少し落ち着いてみると、大学の自由さは高校よりもずっと和弥に合っているようで、思いのほか快適な環境だった。

 帰宅し、マンションの駐輪場に自転車を停める。途中にややきつい坂道があるのが難だが、美しい広瀬川の河原を見渡す通学路を和弥は気に入っている。このところ晴れた日が続き、桜もようやく咲き始めた。
 鍵を差し込んでエントランスのロックを解除し、階段を上ってすぐの201号室。身体がねぐらを覚えるのはすぐだった。別段ホームシックになることもなく、和弥は淡々と新たな生活を受け容れていた。

 部屋も大分片付いた。週末を利用して郊外の大型インテリアショップで足りない家具も買い足し、リビングと和弥の私室はかなり暮らしやすい空間になっていた。ただ、忙しくて片付けにまで手が回らないらしい総の部屋には未開封の段ボールがいまだに積み上げられている。

 講義のあと、できたばかりの友人とカフェテリアで話し込んでいたのだが、リビングの壁の時計を見るとまだ6時過ぎである。
 総が帰ってくるのは早くても8時頃だろう。
 コーデュロイのジャケットを脱ぎ、代わりに部屋着のパーカを羽織ると、和弥はいそいそとキッチンに立った。


<< | >>

[top]

「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -