7-2


 思うのは総のことだ。
 
 和弥と総との間で家事の分担の一応の取り決めはあったが、総は度々自分の当番をすっぽかしていた。
 ゴミを出さずに会社に出掛けてしまったり、洗濯物を洗わずに溜めてしまったり。忘れているのならまだ仕方がないが、総はどこか、自分がしなければ和弥がやってくれると同居人に甘えているふしがある。和弥に責められて謝りはするものの、その態度には「それくらいのこと」「そっちは学生なんだから」という本音が透けて見えるのだ。

 和弥は腹を立てていた。
 そもそもの分担が和弥の方が多くなっているのだし、学生だから比較的時間が自由になるとはいえ、課題もあればアルバイトもある。
 総に対する想いを最近自覚した和弥ではあるが、それとこれとは別問題だ。
 淡白だという自己評価はある程度正しかったようで、和弥は「恋は盲目」などという慣用句からは程遠いところにいる男だった。

 それに、と和弥は思う。
 自覚したところで、それを伝える日は来ないだろう。到底受け容れられるとは思えないし、総と実際にどうこうなりたいなどという大それた望みを持っているわけではない。
 総に対する感情に戸惑い、悩みはしたが、伝えないのならば同じことだ。


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