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ていうか部屋、汚くない? さりげなくそう続けようとしたのだが、さりげなく聞こえるように言う自信がなくて呑み込む。同居を始めてひと月以上が経っても、和弥は総との距離を測りかねていた。
兄弟のように育った従兄弟同士というのならまた違ったのだろう。しかし、住所が離れていることもあり、総と和弥はせいぜい1年に1度会うかどうかという間柄だった。 同居することになったからといって突然、疎遠だった年上の従兄に気兼ねなく何でも言えるようになったりはしない。 和弥はただ曖昧に笑って、母親に持たされた菓子の包みを差し出したのだった。
総がシャワーを使っている隙に、和弥は散らばった服を簡単に畳んで重ね、雑誌類もひとまとめに重ねて置き、菓子の空き袋を捨てる。それだけで部屋は大分すっきりした。ほっとして、しかしそのまま総と顔を合わせるのも気まずくて、冷蔵庫のホワイトボードに「買いもの」と記入して部屋を出た。
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