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 目を覚ますと9時過ぎで、和弥は慌てた。講義は2限目からなのでまだ間に合うが、こんな寝坊は久々だ。

 当然、総は既に出かけたあとだった。冷蔵庫に貼り付けた小さなホワイトボードに乱雑な字で「きたく早い ごみたのむ」と書かれている。
 これはあの飲み会の日の翌日、総が買ってきたもので、それ以来ここには総の予定が書き込まれ、変更があればまめにメールもしてきた。
 ただそれだけのことで生活はずっとスムーズになり、総を待ってイライラすることもなくなった。

「帰宅早い、はいいけどゴミはあんたの当番だろうが」

 ぶつくさいいながら「仙台市指定ごみ袋(小)」の口を縛る。ホワイトボードは便利だが、油断するとこうして体よく用事を押し付けるのに利用されてしまう。

 爽やかな笑顔で何でもこなしてしまうイメージの総だったが、一緒に暮らしてみると意外とだらしのないところがあるのだった。

 無闇と総に憧れているらしい妹たちに教えてやりたいと思いつつ、和弥はゴミを片手に玄関を出た。


―2.共にする食事のための

おわり。


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