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「わ、軽い。細い〜」
膝の上にたまおを座らせ、慶吾はご満悦である。たまおは諦めたのか眠いのか、脱力してされるがままになっていた。
「たまお、たまお、たまおはどうしてたまおなの」 「ポチじゃ安易かと思って」 「國彦さんに聞いてないよ」
たまおをさんざ撫でくり回した慶吾は、突然電池が切れたように「むり、ねる……」と呟いて布団に倒れ込んだ。
「朝めしは?」 「……いらない」 「せめて上着は脱いだら」 「んー」
半ば意識を失った慶吾からジャケットと窮屈そうなジーンズを剥ぎ取り、國彦は布団を掛けてやった。たまおは不思議そうに、突如生気を失くした慶吾の顔をそっとつついたりしている。
「寝かしてやりな。起きたら遊んでもらうといい」
國彦はたまおを引き剥がし、慶吾に向かって「仕事に行ってる。たまおに昼めし食べさせて」と頼む。慶吾は了承の印としてうぅ、と呻いた。
「時間あったら箸の使い方教えてやって」と付け足した國彦に再びうぅ、と返事をすると、慶吾は今度こそ深い眠りへと落ちていった。
「たまお、おれの貸してあげるから服着たら。朝ごはんにしよう」
相変わらず全裸のたまおを居間へ連れ出し、國彦は静かに寝室の襖を閉て切った。
(2010/04/03)
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