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 たまおにせがまれて一緒に入浴し、髪を乾かしてやってから、國彦はたまお・おおくまさん・こぐまさんとともにひと組の布団に潜り込んだ。おおくまさんが意外にも場所を取り、布団が狭く感じられる。

 たまおは食事のあと1度も慶吾の話をしなかった。しかし寂しげな表情は変わらず、今も國彦にきつく抱きついていた。

「くすぐったいよ、たまお」

 柔らかな毛に覆われた耳が首筋を擽り、國彦は小さく身を捩る。
 たまおは國彦の胸に押し付けていた顔を離す。暗闇の中、澄んだ瞳が國彦を見詰めていた。
 優しく頭を引き寄せ、こめかみにキスをした。するとたまおは自分から國彦に唇を寄せる。舌を差し出すと甘えるように吸い付いてきた。
 そこからはもう、止まらなかった。

 たまおに覆い被さるようにして激しくくちづける。時折歯がぶつかって鈍い音がしたが、構っていられなかった。
 細い両腕で國彦の頭を抱き、鼻から小さく声を洩らしながらたまおも精一杯応じる。風邪を引くからと数日前から着せられている寝間着の中に國彦の手が入り込み、荒々しく肌を撫で回した。敏感な耳や尻尾にも触られ、たまおの身体が跳ねる。

 不意に唇が離れ、たまおは閉じていた目を開けた。途端、國彦の両手がたまおの細い首に掛かる。
 容赦なく絞め上げられてたまおは一瞬抵抗したが、すぐに力を抜き、目を閉じた。次第に息が詰まり、身体が生理的に硬直し、痙攣する。

 たまおが呻き声ひとつ立てずに意識を失う寸前、國彦は我に返って手を離した。

「たまお、……たまお!」

 激しく咳き込むたまおの背中を、國彦は必死で摩る。

「ごめん、苦しかったね、怖かったね……ごめん……」

「こわくない」

 たまおは掠れた声で言い、震える國彦の手を握った。暫くそうしていてから、小さく「ねる」と呟くと國彦にぴったりと身を寄せて本当に寝息を立て始める。言葉通り、警戒など微塵も感じさせない様子だった。
 國彦が寝付けずにごそごそと動いていると、たまおはやや不機嫌そうに目を開けて「かしてあげる」とおおくまさんを差し出し、ころりと反対側へ寝返りを打った。

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*大槻國彦氏の危険な性癖。

(2010/04/29)


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