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囁き交わす声で目が覚めた。
國彦が隣を見ると、たまおと慶吾が顔を近づけ合い、何やらひそひそと話している。まだ早朝だが、ふたりは昼間よく寝るので早く目が覚めるのだろう。
たまおがやって来て1週間が過ぎた。 それまで週の半分は自分のアパートへ帰っていた慶吾も、たまおを構うためにほぼ毎日國彦の家で過ごすようになり、3人での生活が定着しつつある。慶吾が仕事で朝まで帰らない日を除いて、こうしてぴったりくっつけた2枚の布団に3人で寝るのも日常のこととなっていた。
「たまおちゃん、あったかいね」
慶吾が吐息のような声で囁き、たまおを抱き寄せている。金茶色の毛に覆われた耳に、滑らかな額に、まぶたに、唇に、可愛らしい音を立ててキスをする。たまおも慶吾の背に腕を回して身を寄せ、舌を伸ばして慶吾の唇を舐めた。
「たまおあったかい。けーごもあったかい」
布団の中で裸の脚が絡み合う。目を閉じたまま、國彦はその気配を感じていた。
眠るときにたまおが服を全て脱ぐのは相変わらずだったが、慶吾は初めの晩にそれを見て、自分もと服を脱ぎ捨ててしまったのである。気持ちいいから國彦さんも脱ぎなよ、という慶吾の誘いを有り難く辞退した國彦は、隣で裸のままじゃれ合うふたりに溜め息をつく。
國彦が目覚めた気配を感じたのか、真ん中のたまおがぐるりと國彦の方へ向きを変えた。
「くにひこおはよう」 「おはよ、たまお。まだ早いからもうちょっと寝てような」 久々の休日である。
「ねむくない」 「問答無用」
國彦はたまおの頭を胸へ抱え込み、静かにさせる。抗議するようにもがくので、目の前の三角の耳をすっぽりと口に入れて舌で撫で回した。びくりと大きく震えたたまおは、今度は自分から國彦にしがみついて大人しくなった。 慶吾も寄ってきてたまおの背中に密着する。剥き出しの太ももや尻を慶吾の手が怪しげな動きで這い回った。尻尾を握られたたまおは再び身体を震わせ、「あつい」と呟いた。
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*こんなんばっかでごめんなさい…
(2010/04/10)
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