「なんだよ」 「耳」 「が?」 「痒いんだよ!たすけてシカマル」 「知らん」 冷たいなーシカマルは、って、キバは口を尖らせた。その顔やめろ腹立つから。全然かわいくねーから。 「キバ、耳って」 「んー」 「ピアスんとこだろ?」 「そうそう」 「アレルギーじゃねえの」 「ちがう!え?そうなのかこれ」 「それか治癒の代償だな」 まあどっちにしろ、オレには関係ありませんってことだ。しーらね。 「つーかさ。なんでこんな暑いときに開けたりするわけ、痒くなるに決まってんだろ」 「だってー開けたかったんだもん」 「だもん、とか言うな」 キバが冷蔵庫から取り出したペットボトルの水を飲んだ。人んちの冷蔵庫勝手に開けるなと何度言ったことか。今となっては気にもならない。慣れってこえー。 「じゃあシカマルはなんでピアス開けようと思ったん?」 「あー、若気の至り?」 「若気のって。オレらまだ10代だよシカちゃん」 「そーな」 10代か。若いなオレら。まだまだやんちゃなガキだ。 そう思ったらなんか急にいたずらしたくなったから、ずいっとキバに近づいて、その耳朶を食んでみた。耳朶ってのは案外つめたい。そしてピアスも。キャッチが歯に当たってかちりと小さな音をたてた。 「うわ、いきなり何すんの」 「やーなんかいたずらしたくなって」 「オレの耳朶なんか食っても旨くないだろ?」 「味わってねーよ」 うははと軽快に笑って、実はシカマルとお揃いにしたくてピアス開けたんだ、って言ったキバの、今度は唇に噛みついてみた。うん、悪くない。オレら。 110422 |