小さな親切大きなお世話、という言葉を知らないのだろうか。この、やまもとたけしという人間は。

「ひとりでいんのもいーけどさ、たまには誰かといるのもいーもんだぜ」

なにを言い出すのかと思えば。そもそも僕はひとりがいいと言ったおぼえもないのに。
手を捕まれる。繋がれる。
山本武の手はいつも、僕の手より少し温かい。

「…僕はそんなこと、ぜんぜん望んでないけど」

君の独りよがりだよって、突き放すのは簡単なことのはず、なのに言えない。拒否できないのは僕の甘さか君の愚かさか、この際どっちでもいい、どちらも、だから。

「分かってるよ。俺が勝手に、こうしたいだけだって」

屈託もなくからっと笑う、その表情とか。

「大きなお世話だよ」

でも好きだ、と聞こえないようにこっそり呟いて、繋がれた手を少しだけ握り返した。
ゆるやかに温まる指先の温度を感じて。



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