まぶたの裏が白みはじめて、ゆるりと覚醒。んー、なんかずいぶんゆっくり寝ていた気がするなあ。
ひとつ伸びをして、起き上がる。


「ワオ、ようやくお目覚めかい?」

へ?とまぬけな声をだしてそちらを向けば、ひばりが書類を手に椅子に座っていた。

「…おはよう?」
「もう昼だけどね」
「ここ…俺の部屋だよな」
「そうだね」

いやいや、そうだねじゃなくて、なんでヒバリサンが俺の部屋にいるんでしょうか。

「えーっと…」
「夜中、君がなにをしたか覚えてる?」
「夜中?…ん?あれ?今日…何日?」
「ついたち。」
「元日?」
「そうだね」

ああ、もしかして…とぎれとぎれの記憶がだんだん蘇ってきた。
きのうは大晦日で、幹部も何人か久しぶりに日本に帰ってきてて、仕事を終わらせてからみんなで盛大に騒いで…

「なんか、すっげー飲んだ気がするんだけど」
「うん。で、途中でひっくり返った」
「…んで今まで寝てた、と」
「そういうこと。新年早々、職務怠慢だなんてずいぶんといいご身分じゃないか」

うわあ、なんつーか、なさけない恥ずかしいまじでしにたい。

「なんか、あの、スミマセンデシタ」
「それはいいからはやく支度して。今日だって仕事あるんだろう」

元日から仕事か。ここんとこ忙しいし仕方ないけど。
…うん?でも、あれ?

「ひばり、いつから俺の部屋にいたんだ?」
「一時間くらい前から君のまぬけな寝顔を見てたよ」

どうやら俺を起こさないでいてくれたらしい。
しかもひばりが手に持ってる書類は、俺が午前中までにやらなきゃならなかった仕事だ、たぶん(いやぜったいそうだ)。

わるいことしたなと思う反面それ以上にその小さな気づかいがうれしくて、つい口許がゆるんだ。

「あけましておめでとう」
「はいはい」
「書類サンキューな。けっこうな量あったろ?」
「なんのこと」
「はは、まあいいや。ひばり、ちゅーしよ」
「…仕方ないね」





今年最初の午後は、とびきりの。
110103
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