からりと無限に抜けてゆくような青、まっさお。スカイブルー。

人気スポットの屋上には、お昼時だというのに僕たちだけしかいない。
なんたって綾部くんが内緒でカギを盗んできたからね。なんかすごいけどそのへんちょっと謎が多くて怪しい子だ。

「綾部くんのお弁当、ちっさいよね」
「それ毎日言ってますね」
「んーそうかも」

人ってね、わりかし昔のことなんてすぐ忘れちゃうんですよ。彼がそう言ったのはいつだったかな。
分かっていても僕ら、いまもこうしていつかは忘れる一瞬を紡いでいるなんてなんとも切ないような、むなしいような。

「私のことは好きですか」
「うん、好き。だいすきだよ」

よかった。ちゅ、とかわいらしい音をたててバードキスが降ってくる。

「チョコレート持ってるけど、食べる?」
「タカ丸さんがいればお腹いっぱいですよ。ごちそうさま」
「ええ?」

なんて恥ずかしいこと言うんだ。そんな綾部くんが好きなんだけど。

スカイブルーの下には、息のつまるような幸せを少しずつ繋げて、明日には忘れちゃうような些細な出来事にさえ心を動かしている、僕たちがいる。



青の浸透圧
100913
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