どうして、だろう。
あれ程憎かったヤツラが、今はもう憎くない。
私のあの人は無実の罪を着せられ正義を騙るヤツラに連れて行かれた。
そのあとヤツラもあの人も、近くで見ることは一度もなかった。
死んだのだ。それくらい、頭の足りない私にでもわかった。
憎かった。ヤツラが。憎かった。私を置いていったあの人が。
「でもね、今は全然憎くないの。どうしてかしらね。」
こたえならわかっているけど、
ねえ、どうしてだと思う、
「ねぇ、ペタ。」
「知らないな。憎しみが足りないのならチェスを抜けでもするのか。」
意外。あなたにもわからないことなんてあったんだ。
というか、
「本気でそう思ってる?」
そんなことないでしょう、聡いあなたが気付いてないはずがない。
「…まさか。それくらいは理解しているつもりだ。」
…その笑い方は反則だと思うの。
まるで人間みたいに綺麗に笑うから、勘違いをしてしまう。
「…あなた以外の事で心を使うなんてもったいないし、疲れた。」
だから、長く長くかけてつけたこの、あなたの足元にも及ばない力だけど、
あなたの思い一つで、私が沢山の命を消すのよ。消すことができる。
そう考えたら、
「すごく滑稽に見える。ヤツラだってあの人だってこんなもんなのよね。」
業火に掻き消される小さな蝋燭みたいな命。そうでしょ?けど、あなたはそうじゃない。
長いものには巻かれたいし、大きいものには取り込まれたいじゃない。
「おとなしく犬になれば済むものを…」
感じるとすればそれは、憐れみか、あるいは蔑みか。
───
初作品はまさかのペタ、そして名前変換がありません。
設定としてはペタに拾われた夢主。あぁ、キメラと被るとか言わないで!!
憎悪からはじまった殺人、憎しみを忘れたならば、愛する人が望んだ殺人。彼女は立派な殺人人形になりましたとさ。
…なんか違うな…まあいいか。
なんにせよドロドロすぎる。