──本日、は、10月12日、は、

私、ミリア・クラシアスのお誕生日なのです!!



布団から飛び起きるなり周囲を見回し、うふふ、と笑う少女。

ニヤニヤ笑いをそのままに枕元に積まれた色鮮やかな包み紙に指をかける、



───ビリッ、


「っあぁぁあ!これ!欲しかったやつじゃん!!キャッホイ!!」

「やっぱり今年もこのシリーズかぁ、今年はどんなのか楽しみにしてたんだよねぇ!!」

「あは、みんなかわいいカード…!!」



一人テンション急上昇中。

と、むくりと隣の布団から人が起き上がる。



「ミリア…早いわねぇ……いくら嬉しいからってまったくもう…寝てられやしないわ?」

「っあ、ごめ、」

「しょーがないわね、今日だけは許したげるわ。お誕生日おめでと、ミリア!」

「うっわい!!ありがと!!」



苦みを含んだ笑いを浮かべながら小さな包みを差し出す彼女に満面の笑みで抱き着いてそれを受け取り、ミリアはドレッサーの前で動きを停止した。



───…せっかく誕生日なんだし、ドラコになにか言って貰いたいよねぇ…



そして。



「…下手にいじるよりいつも通でいいよね……大丈夫、今日も私かわいいし!!」



ナルシストだった。





「…あぁ、ミリアじゃないか。やっぱり一段と浮かれてるな!」



朝の食堂前で鉢合わせたのはアレスタ。



「アレスタ!!言われなくてもわかってるってば今日も私かわいいよね、ありがと!」

「はは、とりあえず誕生日だな、おめでとう!これは私からだ!」

「わーいありがと!!…う、なんかずっしり重くない…?」

「ミリアの筋力なら問題ないさ、じゃあな!」




こうして学校内で、それなり以上の人気を誇るミリアは昼、夕と順調にプレゼントと「おめでとう」をゲットしていった訳だが。

時刻は午後22時半頃。



──…今日、ドラコと一回もしゃべってない……!!



もちろん、おめでとうも言ってもらっていない。

これは大問題である。



──…でも今から男子寮に押しかけるのもなぁ…


はぁ、溜息をついたと同時、

彼女の脇で何かがゴソ、と動いた。



「っいゃ!!!」


──グチャ、


潰れた様子なのは、大概中身が知れている包み、の中の…



「…手紙?」



『ミリア.クラシアスへ

23時に、S寮談話室で。

D.M.』



「……っ!!」



時計を仰ぎ見ると、あれから15分。

幸い、同室の子は既に就寝している。



「いかなきゅ!!」




階段を進めば見えたのは見慣れたプラチナブロンドの後ろ姿。



「ドラコ、」

「遅いぞミリア、この僕を待たせるなんて随分じゃないか。」

「っな、時間通りじゃない!!」

「関係ない!大事なのは僕が待ったかどうか、……いや、違ったな。」



口げんかを途中でやめ、ふと口ごもるようになる彼。



「まぁ、…その、なんだ。色んな奴から色々貰ってるんだろうし、父上からも届いてるだろうけど…」



そこまで言って小さく頬を書いて、左手の小さな包みを差し出す。



「こんなものしか浮かばなかったけどな…おめでとう、ミリア。」

「…っ、あ、ありがとう…っ!」



ポロ、と、うっかり安心したミリアの目から水滴が落ちた。









「お、おい、泣くなよ!」
「っごめ、安心しちゃって…」
「え?」
「ドラコ、今年は祝ってくれないのかなって…」
「ご、めん…」
「ところで中身は?」
「っえ、あ、ばかここで開けるな!」
「残念開けちゃっ……、え、これ…指輪……?」
「…〜〜っ、だからここで開けるなって…」
「、もう!ドラコ大好き!!」





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執筆:亜桜

日付変わる一時間前に慌てて書きはじめたので文章が大変おかしなことになっております。
ともあれミリア、おめでとう!

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