「ミリアー!!」
「あ、おはよう、アレスタ」
今日も朝から緑のネクタイをしめた茶金の後ろ髪を目にして私は元気よく声をかけた。なんたって今日の私は気分がいい。最高に浮かれている気がする。
何故かというと、今日は私の誕生日だ!
別に待ちに待った、とまではいかなかったが、やっぱり当日になると気分がいいことこの上ない。
「どーしたの、アレスタ。なんか今日めっちゃ機嫌よくてなんか変ー」
「そ、そうか?…まぁ今日は特別だしな」
勿論"おめでとう"を初めに言ってもらうのはセブルスがよかったけどあの最近ツンモードのセブルスが言ってくれる(てか、知っているのか?)とは思わないから後回しにした。さぁ、ミリア!!なんか言うことがあるんじゃないか!
「え…?特別?なんかあったの?」
「…は?」
「苦手な試験科目でハーマイオニー抜かした、とか?それだったらすごいなぁ、あたしも勉強しなきゃ、」
「え、ちょ、ちが…」
「あ、やっばーい!!ドラコ待たせてるんだ、これからクディッチの練習なの。じゃあまたねっ」
……………?
ちょっとまてええええ!!!
私は廊下の真ん中にぽつん、と残された。親友なのに…親友な・の・に!!
誕生日忘れられるとか思わなかった…
私は衝撃のあまりぽかんとしてしまった。あの行事に強いミリアが誕生日を忘れるなんて…。なんだか気分は一気に落ち込んでしまった。…そういえばルーナにもなんも言われてないな…
私は無意識にため息をついて、肩を落とした。そして仕方なく寮に戻ることにする。夜の夕食の席でガツンと文句いってやる…
─────
数時間後。
「現在時刻只今五時にして誰からもおめでとうの言葉がない…だと?」
あの親友の誕生日を華麗に惚気でスルーしたお馬鹿ミリアと別れた後、ハーマイオニー、パンジー、パドマ、ルーナ、ハリーとロン、マルフォイもすれ違ったな…あと双子にネビルに………etc.
これだけ会ったというのに、誰もなにもいってくれなかった……。
マルフォイや双子はともかく、ハーマイオニーやパンジーは一言くれてもいいんじゃないか!!私は自室のベッドでのた打ち回っていた。ああ、朝の幸せな気分は何処にいったのか。気分は落ちるとこまで落ちている。
なんだか寂しい。祝ってほしいとは思わないけど、誰からも一言も貰えないのは流石に寂しい。
今日何回目かわからない深いため息を落として私は仕方なくベッドから降りた。
もう、夕食だ。
一人でそっと寮を出た。
「…そういえばセブルスにも会ってないなぁ、今日は運が悪い…」
ぼーっと少し生徒の残る廊下を歩きながら言う。ちょっと近くを通ってみよう、と地下につながる階段を降りようとしたその時だった。
「セブ…!」
「………ミスマークウェルか、」
あからさまにいやな顔をされたけど、今の私はそんなこと気にしない。久しぶりにみたような彼に駆け足で近づいた。
「夕食の席はこちらでは無いはずだが?」
「ちょっとセブの顔が見たくなったんだ、」
「スネイプ教授と呼べ、と何度言えばわかるんですかな、貴様は。今日で一つ年が上がったのだから成長の一つでも見せればいいものを…」
私は一瞬固まった。今……!!
「セブ!!今、い、今なんて…!」
「つ、つっかかって来るな!ミスマークウェル!!今日で貴様は年が上がったのだから成長の一つでも見せろと…、誕生日も忘れる愚か者だったのか、貴様は。」
「お、覚えててくれたんだ!私の誕生日…!」
「…覚えていたんじゃない、うちの寮の生徒が呟いていたから偶然知っただけだ、」
今日初めて言われた祝い(嫌み?いやいや、これはセブの精一杯のデレに決まってる!!)の言葉に私はさっきまで落ちていた気持ちは嬉しさメーターを吹っ切った。しかもセブが初めての誕生日を気にしてくれた相手。こんなに嬉しい事はない!!
「ありがとうセブ!誕生日につっこんでくれたの、すごく嬉しいよ!」
「……貴様、敬語くらいつかえ…夕食の時間まで残り少ない。早くいかんか。」
「はい!!」
セブは驚いたように、少し間を開けながら話していた。私は今日、いや、今までで最高じゃないかってくらいの笑顔で返事をした。
初めての言葉は貴方から。
(こんなに幸せな誕生日初めてだっ!)
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「……どう思う?ドラコ。あれは嫌みだよねえ…」
「…嫌みだろうな。まぁ当本人がが喜んでるし、いいんじゃないか?」
「ふう…先生の前でアレスタの誕生日アピールするのも、みんなを口止めするのも大変だったけどああ喜んでくれたら本望だね!」
「大体なんで僕が付き合わなきゃいけないんだよ、夕食始まるぞ。」
「夕食でみんなでプレゼント渡すしね、じゃあ広間いこっか。」
とかいう、スリザリン生二人が(一人)が考えた策略と言う名のプレゼントにのったことを彼女が知るのはもう少し先のこと。
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執筆:魅空
アレスタおめでとおおお!!