山羊のオラが狼に勝てるなんざー思ってねえ。 でも、男には、どうしても避けらんねえ闘いがあるんだべ!! 「凄さん!!」 「あ?」 暖かい日差しが眠気を誘う午後。 すっかりまどろんでいた狼の元に一匹の山羊が現れた。 傍から見れば自殺行為だが、狼は山羊を食べる様子もなく、ただ山羊を眺めている。 「なんか用か?」 「おう!用があっから来たんだ!!」 それどころか普通に話しかけるではないか。 この二匹は恋人関係なので普通といえば普通なのだが、それにしても端から見ればとても異質である。 「凄さん…ちょっと立ってけれ」 「は?」 「立てっせーってんだ!」 「な、何怒ってんだよ」 言われるが儘に立ち上がる姿は狼としての威厳はまるで感じられない。 山羊はそのままズンズンと進んでいき、狼の目の前で立ち止まった。 キッと狼を見上げる姿は本人は睨んでるつもりなのだろうが、身長差も相俟って上目遣いにしか見えない。 狼は抱き締めたくなる衝動を必死に抑え、山羊の様子を伺った。(ここで抱き締めたら確実に蹴りが待っている) 山羊は徐に狼の肩を掴むと一気に引き寄せて首に噛み付いた。 「いってっっ!」 なかなか勢いよく噛み付いたのか血は出てないものの歯型がくっきりついている。 それを眺めた山羊は満足そうに離れた。 意味がわからないのは狼だ。 「おい、与四郎…これはどういう意味だ?」 「なんでもねーだぁヨ」 「これじゃあただ噛まれ損なんだが…」 「凄さんだってよくオラのこと噛むでねぇーか!あいこだんべぇヨー」 「あいこって…」 ふふんと笑う山羊は一仕事終えたとばかりに上機嫌で身体を翻した。 「あ?なんだ帰るのか!?」 「用は済んだかんな」 「え、用ってマジでこれだけ?」 「んじゃなー!」 「あ、おい!」 狼が引き留めるのも構わず山羊は元来た道を駆けていった。 「…なんなんだあいつ」 一人取り残された狼は先ほどの山羊の言葉を思い返す。 「俺が首噛む意味わかって言ってんのか…?」 首をさすりながら呟く狼と 「やってやったべ!」 自分のやったことに息を荒げる山羊の 思惑は一緒? 【首筋へのキスは欲望の証】 「…まさかな」 「オラだって男だかんな!」 (九)文は早めの段階で来ていたのに絵が完成するのが遅すぎてこんな事に!ヾ(゚ω゚)ノ゛ けも凄与四は正義!!相互リンク有難う御座いました! (霞)おまけのおまけで何か付いてきたけど、絵を凝視してやればいいと思うよ☆ 相互リンクありがとうございました!!!! |