第2話

船内は、上陸の準備で忙しなく働くクルー達。
船は島の目立たない場所に停泊していた。
そんな、なか…

「くそっ…まだ、響いてやがる。」

キッドは、頭を押さえながらのそのそとした足取り出歩いていた。
事の起こりは、数分前…
起きて来ないクルー達を起こしたフィールは、その足でキッドの部屋に向かって歩き出した。
その手には、フライパンとお玉が握られていた。
そして、部屋の前に到着するとそっとドアを開け中に入った。

「……やっぱり、まだ寝てる。」

キッドが寝ているのを確認すると、そっとキッドの耳元にフライパンを近づけお玉を構えた。

「お頭、覚悟。」

と言うと同時にガンガンっとけたたましい音が鳴り響いた。
そのけたたましい音に吃驚し、キッドは飛び起きた。

そして、今にいたる…

「お頭、情けないです。」

隣には心底楽しそうに笑うフィールがいた。

「誰のせいだと思ってんだ。」

眉間の皺がより一層深くなった。

「私ですか?」

「そうだろが。」

「なかなか、起きて来ないからです。」

二人は、言い合いをしながら甲板までの道のりを歩いていた。

「あっ…お頭、今回は私も島に行きたいです。
それに、曇ってますから…駄目ですか?」

「はぁ…解った、だがおれから離れるな。
お前は、すぐ迷子になるからなァ。
それと、日が出てきたら直ぐに船に戻る解ったな。」

「はい…あっ、上着だしてない、ではお頭また後で。」

顔を破顔させながら言うと、自室に上着を取りに戻った。
キッドは、その姿を愛おしそうに見つめていた。
自室に戻ったフィールは、ゴソゴソとクローゼットを必死に漁っていた。
フィールはなかなか目当ての物が見つからず少しイライラしていた。

「あった。」

と短く言うと探していた、黒のケープを高々に持ち上げた。
そして、バサリッとケープを羽織った。
キュッとケープのリボンを結ぶと足取り軽く自室を後にした。
フィールが甲板に出ると、もう上陸の準備が整っていた。

「おせェぞ、フィール。」

「ごめんなさい、なかなか見つからなくて。」

カツカツとヒールを鳴らしながら、キッドに近づいた。

「お前ら、上陸するぞ。」

と言うと今回、島に行く数人のクルーを連れて船を降りた。
フィールも今回船番をするクルーに手を振りながら船を降りた。

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