マニキュア
穏やかな空気が漂う午後の一時。
船長室に置かれているソファーに座るキッド。
そして、キッドの真っ正面の床に座るフィールの姿があった。
フィールの右手には、黒のマニキュアが握られていた。
左手は、しっかりとキッドの手を掴み真剣に黒のマニキュアを塗っていた。
その黒は、はみ出す事無く綺麗に爪に塗られていた。
フッとキッドがフィールの顔を見ると…
そこには、至極幸せそうに笑うフィールがいた。
「何がそんなに楽しいんだ」
キッドは、眉間に皺を寄せながら問いかけた。
問われた本人は、一時塗るのを止め上を見た。
「そうですね…今こうして、二人で居るのが嬉しくて」
「…そうか」
穏やかな、午後
二人だけのささやかな平和な時間
そこには、幸せに笑う二人の姿が…
(fin)