終焉は貴方の手で

※死ネタ

細く白い首に置かれているキラーの手。
添えられている手は、微かに震えていた。
そしてキラーの手にそっと、添えられたフィールの白い手。

「キラー、ごめんね。
でも…私、幸せだよ。」

『貴方の手で最後を終える事が出来て。』と微笑む。
病魔におかされた、彼女の願いが最愛の人の手で最後迎える事だった。
微笑むフィールとは、反対にキラーは仮面の中でキツク唇を噛み必死に涙を堪えていた。
フィールは、手を伸ばしゆっくりとキラーの仮面を取った。
強く噛みすぎた唇からは、赤い血が滲んだ。
血が滲むキラーの唇にフィールは、そっと指を這わせ血を拭う。
手が触れた途端、キラーの目から涙が零れ落ちた。
溢れた涙は、重力に従い下に落ちフィールの顔を濡らした。

「泣かないで。」

零れ落ちる涙をフィールは、優しく拭う。

「すまない。」

と言うとキラーは、首から手を離しフィールの頭を包みこんだ。
そして、触れるだけの優しいキスを何度も繰り返した。
ただ触れるだけのキスは、次第に深くなっていった。
キラーはゆっくりと離れると、哀しみに濡れた目でフィールを見つめ…

「フィール…愛してる。」

囁きキラーは、一気にフィールの首を絞めた。
首を絞められながらも、笑みを浮かべフィールは言葉を紡ぐ。

「わ…たし…も、愛…して…る。」

途切れ途切れの愛を紡ぎ、安らかな笑みを浮かべ最愛の人の手で終焉を向かえた。

「…思っていたより、ずっと哀しいな。」

自嘲的な笑みを浮かべ、呟きギュッと力強く抱き締めた。
渇いた筈の涙がまた溢れだし、キラーの頬を濡らす。



(fin)

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