見馴れた光景
「あっ…お頭だ。」
フィールは、前方にキッドの姿を見つけると勢いよくキッドに飛びついた。
そして、ギュッとキッドのコートに顔を埋めるようにして抱きついた。
「フィールまたか。」
と少し呆れたように言った。
「だって、お頭に抱きつきたくなったんです。」
満面の笑みでそう答えた。
その答えを聞いて、キッドは止めていた足をまた動かし出した。
「うぁ、ちょ…お頭、人が抱き着いてるのに歩かないで下さいよ。」
「あぁ、んなの知るか手離せば良いだけだろうが。」
「絶対に、嫌です。」
同じことを言い合いながらフィールは、キッドにズルズルと引きずられるように歩いていた。
その光景を見馴れているクルー達は、またかと笑いながら微笑ましい二人のやり取りを見ていた。
(fin)