出会わなかったらという仮定の無意味さに比べたら
「はぁ…」
何回目か分からない、ため息を吐いた。
私の目の前には、至極鬱陶しそうに顔を歪めるお頭の姿があった。
そんなお頭の様子を気にせず私は、喋りだした。
「お頭、どうしたら今のキラーさんとの関係を変えれますかね?」
「あぁ、んなの知るか。」
「そんな事言わないで下さいよ。
真剣に悩んでるんですってば、アレじゃぁキラーさんまるでお母さんですよ…今朝だって…」
私は、今朝の出来事を思い出しながら喋りだした。
朝の弱い自分は、いつも朝ご飯の時間ギリギリに起きていた。
軽く寝癖を直し、寝ていた格好のまま足早に食堂に向かった。前から朝食をすませ部屋に戻るところであろう、キラーさんの姿が見えた。「キラーさん、おはようございます。」
「おはよう。」
ただ挨拶を交わしただけでも嬉しくなり、自然と頬が緩むのが自分で解った。
「あっ…では、急いでるので失礼します。」
と言いキラーさんの横を通り抜けようとした時不意に名前を呼ばれた。
「何ですか?」
振り返り、自分より幾分か背の高いキラーさんを見上げた。
「お前、その格好で行く気か。」
「そうですが?
何かまずいですかね。」
と私が言うと、『…ハァ』と小さくキラーさんがため息を吐いたのが聞こえた。
「年頃の女がそんな格好でうろうろするな。
それから、髪もキチンと直せ分かったな。」
「……分かりました。」
「理解したなら良い。」
そう言いキラーさんは、フワリッと私の頭を撫でた。
「で…では、服を替えてくるので失礼します。」
自分の顔が熱く赤くなっているのが分かった。
赤くなった顔を見られたくなく、慌てて踵を返し部屋に戻った。
「…って事があったんです。」
今朝、起こった事を話し終わるとお頭から適当な相槌が返ってきた。
「お頭、ちゃんと話し聞いてました?」
「あぁ、聞いてる聞いてる。」
とまた適当な言葉が返ってきた。
「また、適当ですね。」
「キラーから他にも何か言われてるだろ。」
「あっ…はい、言われてますよ。
確か、密室で男と2人っきりになるな…とか後も色々と。」
『もう、本当お母さんみたいですよね。』と言うとお頭は、ため息を吐いた。
「キラーが言った事全て守れば、少しは現状も変わるだろうよ。」
「本当ですか。」
「守ればの話しだがな。」
「守りますよ、少しでも状況変わるなら。
ではお頭ありがとうございました。」
と言いお頭のもとを離れながら私は、キラーさんに言われた事を一つ一つ思い出していた。
「絶対今の状況を変えてみせる。」
出会わなかったらという仮定の無意味さに比べたら
今の関係の方が随分と良い
だって…
今の関係は変える事が出来るから
企画、『
絶対振り向かせてみせる!』様に提出