君を確かめるように

数日前、ログが溜まり島を出発していたキッド海賊団。
ゆったりと、次の島を目指し船を走らせていた。

しかし…

今は、敵船と交戦中だった。
キッド海賊団の戦闘員である、フィールも前線で戦っていた。
辺りは、硝煙と血の臭いが充満していた。
戦闘も終盤に差し迫り、キッド海賊団の勝利目前だった。
フィールは、辺りを見回し立っている敵が居ない事を確認した。

「もう、敵も居ないし船に戻ろ。」

と言い、自分達の船に戻ろとした瞬間…
パーン、パーンッと発砲音が二発響いた。
慌てて振り向くと、銃弾が二発フィールの下腹部と肩に命中した。

「くっ…」痛みが全身を駆け巡った。
心臓が脈打つ度に、ドクドクと傷口から血が止め処なく溢れ出ていた。

「船まで…戻れる…か、な」

一歩踏みだそうと、足を動かしたがグラリッと体が前に傾いた。少し離れた所ではキラーが敵に止めをさし、船に戻ろうと歩み出していた。
フッと前方に目をやると、グラリッと倒れるフィールと彼女に止めをさそうとする敵の姿が見えた。

「フィールッ」

慌てて駆け出し、敵を倒すと倒れそうになっていたフィールを抱き留めた。

「フィール、大丈夫か。
すぐ船医の所に連れて行く。」

「キ…ラーさん、油断しちゃ……」

言葉を最後まで言い切るまえに、フィールは気を失った。

「くそっ…」

と短く言うとキラーは、自分達の船に向かって走り出した。




「…んっ」

ゆっくりとフィールは、目を開いた。
目に入ってきたのは、見覚えのある部屋だった。

「ココは、私の部屋…イツッ。」

起き上がろうとした瞬間、痛みが体に走った。
『あっ…そうか、私撃たれたんだ。』思い出し傷を庇いながら起き上がっていると、ゆっくりと部屋の扉が開いた。
ドアの方を向くと、開いた扉からキラーが中に入ってきた。
キラーは、フィールが目を覚ましたのに気づくと足早に近づいてきた。

「目覚め…よかった。」「心配かけたみたいで、ごめんなさい。
私もうダメかなって一瞬思っちゃいましたよ。」

ヘラヘラと笑いながら言うと、行き成りギュッと抱きしめられた。

「ちょっ…キラーさん痛い、痛いですってば。
傷口が開いちゃいますって。」

一向に腕の力が弱まる事はなく、却って少し強くなっていた。
『キラーさん』とフィールが名前を呼ぼうとした時に、微かにキラーの体が震えているのに気が付いた。
そっと、抱きしめ返すとポツリッとキラーが喋り出した。

「傷を負った、フィールを見て心臓が止まるかと思った。
……目を覚ますまで、生きた心地がしなかった。」

更にフィールを抱きしめる腕に力がこもった。

「フィール」

「はい、何ですか?」

「ずっと…好きだった、フィール愛している。」

「私も、キラーさんのこと愛してます。」

はにかみながら言った。
キラーは、マスクを外すとゆっくりとフィールにキスを落とした。
そして、フィールの存在を確認するかのように優しく頬を両手で包み込んだ。
フィールもキラーの手に自分の手を重ねた。

君を
貴方を

確かめるように、触れた…



*お題サイト確かに恋だった様より
『君に、触れる』
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