隣の席

※学パロ

始業のチャイムが鳴り、賑やかだった教室が静かになった。
ガラガラと音を立てて教室のドアが開き、担任が中に入ってきた。
担任が教壇の前に立ち、SHRが始まった。

「誰か、委員会などの連絡事項はあるか?
無いな、SHRはこれで終わり。」

と言い担任は、教室を出ようとドアに手を伸ばした瞬間「あっ」と言い振り返った。

「そうだ、言い忘れていたが今日のRHRの時に席替えするからな。」

今度こそ、担任は職員室に戻るため教室を後にした。
担任が教室から出て行くと、生徒達は各々喋り出した。
フィールは、ニコニコと笑いながら一時間目の授業の用意をしていた。
そして…

「今度こそ、ユースタス君の隣になれると良いな。」

と小さく呟いた。
そのフィールの呟きは、周りの生徒の声によりかき消された。
ガラガラと教室のドアが開き、一時間目の教科の先生が入ってきた。
そして一時間目の授業が始まった。

時間が過ぎ、いよいよRHRの時間がやってきた。
フィールは、一人ドキドキしながら黒板を見ていた。
黒板にはランダムに数字が書いてあった。
黒板を見ていると、後ろからトントンと肩を叩かれフィールは後ろを向いた。
後ろを向くと、箱を渡された。
その中には、番号が書かれた紙が入っておりフィールは、その箱の中に手を入れ紙を一枚ひいた。
箱を隣の席の子に渡してから、一呼吸置きそっと番号を確認した。
紙には、15と書かれていた。

「…15番か。」

15と書かれている所を黒板で確認すると、窓際の一番後ろだった。

「全員ひき終わったな。
じゃあ、席移動開始。」

担任の言葉を聞き、全員荷物をまとめ席の移動を始めた。
フィールも荷物をまとめると、新しい自分の席に向かった。
フィールが席に着くと、隣の席にはまだ誰も座って居なかった。
椅子をひき席に座ると、荷物を引き出しに入れ外を眺めていた。
暫くすると、隣から誰かが椅子をひく音が聞こえ隣を見ると…
そこには、キッドの姿があった。

「隣ユースタス君なんだ、これからよろしく。」

満面の笑みを浮かべながら言った。

「……名前。」

「うん??名前がどうかした?」

「ユースタスじゃねェ、キッドって呼べよ。」

キッドの顔を見ると、少し顔を赤らめていた。

「えっ…うん、じゃあ改めてキッド君これからよろしく。」

先ほどと同じく、笑みを浮かべながら改めてキッドの名前を呼んだ。
教室の後ろの窓際の席には、少し顔の赤いキッドと満面の笑みを浮かべたフィールの姿があった。



(fin)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -