俺らなりにやれる事を一緒に頑張ろうぜ
かたくなな君
最近ジュストベルの視線や監視の目が以前にも増して厳しくなった。何事も無く静かに日々が過ぎていくものの、何か物足りなさを感じる。
真面目に王宮での仕事などこなしていたがジュストベルの授業後、ふとラインアーサが不思議そうな顔で話しかけてきた。
「……なんかジュリ、最近俺の事避けてる?」
「は? 何で?! そんな訳ないじゃん」
急な問いに若干声が裏返る。
否定はしたがラインアーサを騙している様でもやもやとした気持ちが日に日に大きくなっていた所だ。
「……そう? ならいいけど」
「俺がアーサを避ける理由なんてあるかよ! ……ほんと」
本当に理由などないのに、と思った。
「うん、ごめん変な事言って。あ、今日ってこの後空いてる? また稽古お願いしたいんだけど」
「あーー、、でも今日はじい様に用事頼まれてて無理かな」
「そっか、残念。明日は俺もちょっと用があるんだ……最近なかなか予定合わないよな」
何故か咄嗟に嘘を吐いた。その罪悪感からすぐに謝罪の言葉が口をついて出る。
「だな。ごめんな」
「いや、仕方ないよ。てかこんな事頼めるのジュリしかいないからついジュリに頼っちゃって、俺の方こそごめん」
ややしょんぼりとするラインアーサを見て、ますます罪悪感が広がる。もういっそこの悩みを払拭すべく何もかも話したい。
「アーサ、俺さ…」
「ん?」
「あ、いや……あ! 最近アーサ背ぇ伸びたんじゃねえか?」
「えっ? そうかな?」
「ほんとほんと! ほら」
はぐらかす為に降った話題だが隣で肩を並べると殆ど同じ位までラインアーサの肩が来ていた。にやりと不敵に微笑んだラインアーサに内心の焦りを誤魔化しつつ、余裕ぶって笑い返した。
「この調子で追い抜いてやるからな」
「まじかよー! 絶対に負けたくないね」
「俺…! はやく大きくなりたいんだ」
ふと真面目な声を出したラインアーサを見やると真剣な顔で見つめられた。
「何だよ改まって」
「大きくなって、強くなるんだ! 今はまだ子供で力も何も無いけど、早く大人になって父様みたいにこの国のみんなを守りたいから」
「アーサ……俺も。俺もさ、そんな陛下やお前や家族の事を守って行くからな! 今はまだ子供だけど、俺らなりにやれる事を一緒に頑張ろうぜ」
普段おちゃらけているがその気持ちはラインアーサにも負けない位強いと自負している。