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神は砂糖でできている
(影山/はち様リク)


神のアクアがどこから来ているのか、それが気になって最近夜も眠れない。スポーツマンシップから全力で背を向けて雷門中のDFの必殺技如くダッシュしている不正ぷんぷんドーピング上等!な代物だけれど一体どこから仕入れているのか。因みに私はどこかやばい闇市的なところで競り落としてると考えている。「へいへい!らっしゃい!!今日も新鮮な神のアクア入ったよ!価格はリットル/1万円スタートだ!」とやっているに違いない。けれど自分が導き出した答えだけじゃちょっと不安だったのでチームメイトに聞いて見ることにした。


「ねえねえ亜風炉くん。」
「アフロディと呼んでくれたまえ。」
「ねえねえてるみん、質問なんだけどさ。」
「清々しいほどにスルーしてくれるね。...で質問とはなんだい?」
「神のアクアってどこで仕入れているか知ってる?」
「逆に問うけど君はどこから仕入れていると思うんだい?」
「どっかのヤベー闇市で競り落としてる。」
「はぁ... こんな簡単な問いも分からないから君はいつまでも凡人のままなんだ。正解は天界だよ。我が美しい身を作りし創造主である....」

そこからペラペラと何やらカタカナ多めで話し出した亜風炉くん。まさかこんなトチ狂った回答が返ってくるなんて想定外だ。アダムだかエヴァだか禁断の果実だか知らないけれどそういうファンタジーな答えは求めてないんだけどな。まあ急に神様を自称しだしたしキャラ作りに必死なんだろう。厨二病も大概...ゴホン、これからもキャラ作り頑張ってね亜風炉くん。


「てなわけで総帥、神のアクアはどこで仕入れているんですか。」

回りくどく他人から意見を聞くよりここは仕入れている本人に聞いた方が早いと判断して私は影山総帥に伺った。元帝国の監督であり必殺技は鉄骨落とし!だと聞いているおっかない人である。総帥は質問した私を一瞥するとゆっくりと口を開く。

「...それを知ってどうするつもりなんだ。」
「どうもしません。ただ気になるだけです。」

食い気味に言うと私は影山総帥を見つめる。日差しもないのに四六時中かけられたサングラスを穴が開くくらいジィッと見つめ続けていると総帥は口を開いた。

「...Curiosity killed the cat.」

総帥の口から出た言語は日本語ではなかった。最後にキャットとか言ってたから英語かなと流暢な発音に驚きながら目をパチクリさせていると総帥は再び口を開いた。

「好奇心は猫をも殺す。余計なことには首を突っ込まない方が身のためだ。」
「そんな私は好奇心で猫を殺したりしません!」
「...言葉を額面通りにしか受け取れない馬鹿に用はない。」

そういうと総帥は立ち上がってスタスタと去っていく。ぐっ...これはなかなか手強い...!けれど私は一度気になったものに対しては最後まで追求しないと気が済まない些かめんどくさいタチなので総帥を追いかける。

「総帥!絶対誰にも言いませんから!」
「去れ、目障りだ。」
「なんでもしますから!ね!!」
「しつこい。」

くっ...なんでもすると言ったら「え、今なんでもするっていったよね?」って返すのが通説でしょうが!!一筋縄ではいかないなと思いながらも食い下がり続けていると総帥の足がピタリと止まった。

「理由はなんだ。」
「理由?」
「お前が神のアクアについて知りたがる理由を聞いている。」

総帥は私を見下ろしていった。サングラスに反射した照明の光が剣呑さを帯びていて一瞬ビクッとしたけれどこれは総帥から与えられたチャンスかも知れないと思うとこの程度じゃ引き下がってられない...!

「えっと理由はですね...」

引き下がってられない...!と気合十分だった私だったけれどいざ理由はと聞かれても何も浮かんでこなかった。だってただ単に疑問に思っただけだし理由なんて...と思いながらも何か言わなきゃと焦り気味で思案していると総帥がクルリと踵を返した。あぁ、終わった試合終了だとガクッと肩を落して俯いていると「日曜の7時。」と総帥が言ってへっ?と顔を上げた。

「日曜日の7時校門の前で待っていろ。」

背中をこちらに向けたまま総帥はいう時コツコツと革靴を打ちながらしながら去っていった。これは教えてくれるということなんだろうか、うん!きっとそうだよね!やっと知ることができるぞと思うと嬉しくてグッと拳を握った。


そしてやってきた日曜日の7時。前日は観たかったバラエティを我慢して9時に就寝したため全く眠くなくむしろついに神のアクアの仕入れ先を知ることができるという事実にワクワクすらしていた。そんなワクワクした私の目の前に何やら黒塗りの車がやってきた。長い車体にリムジンかな、珍しいと見ているとその車は私を少し通り過ぎるとピタリと止まった。ウィーンと後部座席の窓が開いたと思ったら細い腕が窓からぬっと出てきて私へ手招きした。もしかして...と思って車へ駆けて行くと想定通り総帥がいた。

「総帥!おはようございます!」
「反対側のドアから乗れ。」

低い声でそれだけいうとウィーンと窓が閉まった。朝から通常運転のようで安心しながら反対側のドアへ行くと運転手の方がドアを開けてくれていて「ありがとうございます!」と一言言って車に乗り込んだ。やたらと質感のいい座席に乗り込むと無表情で腕と足を組んだ総帥がいて2度目のおはようございます!を言ってみたけれ無視されて車が発進した。どこへ向かうのかと窓を覗いてみたけれど外の景色は何も見えない。きっとスモークフィルムでも貼っているんだろう。そして車に揺られること1時間弱、総帥に「今日は天気がいいですね。」とか「総帥って趣味とかあるんですか。」など投げる質問全てを無視されてそろそろ心が折れそう...と思っていると車が止まった。

「降りろ。」
「あ、はい!」

どうやら到着したみたいだと車を降りるとそこは森の中だった。あたりを見渡すと閑散とした森の中に不自然に聳える工場が少し先にあって総帥はそこに向かって無言で歩き出した。ついていけばいいのかなと総帥についていくと暫くして工場の入り口が姿を見せた。総帥が入り口のセキュリティ部分にカードをかざすと工場の入り口が開きそこには長く暗い廊下が続いている。コツンと総帥が一歩踏み出すと途端に光の灯った廊下を総帥の後ろに続いて歩くと重厚な扉の目の前についた。入り口でやったようにセキュリティにカードキーをかざすと部屋が開かれそこに神のアクアはあった。機械がなにかを処理している無機質な音が響く空間の中、円柱形の機械の上に私の背丈以上のホルマリン漬けの容器がいくつも置いてあってその中に神のアクアがたっぷりと入っていた。ぷくぷくと機械との接触部分から絶え間なく気泡が浮かび上がる様をホォーと見つめながらこれ全部飲み切ったら亜風炉くんみたいに空を飛べるのだろうか、歩星くんみたいに波を呼び起こせるだろうかと考えていると総帥が「おい苗字。」私の名前を呼んだ。

「なんでしょうか総帥。」
「お前の目的は本当に気になるという理由一つなのか。」
「はい。それ以外目的もなにもありません。」
「......私が彼らに神のアクアを与えていることについては何も思わないのか。」

唐突に投げられた質問に私は振り返った。すぐ後ろの近い距離に総帥がいて総帥はじっとこちらを見ている。

「なにも思わないもなにもだって総帥は神のアクアだけの人じゃないじゃないですか。」

どういう意図で私にあんなことを訊ねたのか、考えても答えが出るようなことじゃないから正直に思ったままをいうと総帥は「...どういう意味だ。」と幾分低い声音で言った。あれ、怒ってる?と思ったけれど表情は変わってないから大丈夫かなと思って私は口を開いた。

「総帥が来てから世宇子は一段とパワーアップしました。チームみんなの連携なんて前の世宇子に比べると段違いです。それに総帥が来てから亜風炉くんのキャプテンとしての責任感も上がりました。いくら神のアクアが人間の能力の高めるからといってチームの士気まではあがりませんよね。だから、チームそのものを強くしてくれた総帥がすることに特に口は挟みません。」
「じゃあお前は神のアクアの使用を肯定しているということか。」
「まあ確かに神のアクアの存在はスポーツマンシップから背を向けていますが私は今の世宇子が、総帥が作りあげた世宇子がどこまで行くのかを見届けたいんです。......そして試合を重ねた先に何が待っているのか、それが楽しみで仕方ないんです。」

総帥に訊ねられたことに素直に思いのままを返すと総帥は黙った。そして暫くの沈黙ののち「...そうか。」と一言呟く。何がそうかなんだろうと頭を傾げると総帥の口元が不敵に上がった。

「お前の好奇心は猫を殺す程度じゃ満たされないんだな。」

普段亜風炉くんたちに向けられている不敵な笑みを目の当たりになんでこのタイミングで笑ったんだと疑問を深めていると総帥から放たれた言葉に疑問は地中まで深くなった。とりあえず何度も言うけれど動物を殺す趣味なんて持ち合わせてないので「何度も言いますが私は猫を殺したりしません!」と返すと「確かにそうだな。」と総帥は笑みを深くした。


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はち様、この度はリクエストありがとうございました!!総帥とアクアを仕入れに行くお話のはずがいつのまにかわけわかめなことに...しかも全然仕入れていませんね。私の力量不足ですすみません..... そして消化にかなりの時間を有してしまい申し訳なかったです。総帥の夢(?)は初挑戦だったので色々試行錯誤を重ねて書いていたため少しお時間をいただきました...!初挑戦なので色々と新鮮で楽しかったです...!重ねますがリクエストありがとうございました! 今後も当サイトをどうぞよろしくお願いします。