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「#エロ」のBL小説を読む
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拍手ありがとうございました。

お礼話は寧日オリオン編です。
寧日主がパシられたり口説かれたり拉致られたりする話です。ロシアに発つ話(23話)から履修出来ていないので多分可笑しい点わんさかだと思います。そういう点に目を瞑れる方はどうぞ。デフォ名。

感想や質問等ございましたらどうぞ。ニックネーム等お名前の記載がありましたらreにてお返事いたします。



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「どうですかピロシキ、美味しいですか。」
「大変美味です。」

黒塗りの車の後部座席で大量のピロシキに囲まれながらピロシキを頬張るのは紹介が遅れました日々寧日でシャワーの水ぶっかけられたまま時が止まっています三宅ユカです。もう放置が行き過ぎてて風邪引く通り越し悟りを開く勢いですが毎度毎度まだ連載名もなく果たして今後連載名が付くのかすら不透明な虫食いオリオン編に駆り出されては残業代も出ない日々です...ってわけのわからん話はやめて状況説明しろって。


アジア予選を見事に突破しFFI本線のためにロシアにやってきてロシアの生活にも慣れて来たある日、私は宿舎のポストに入っていたとあるチラシに目を奪われていた。

「世界の珍味ピロシキ?」
「うんうん!なんか世界中の名物が具になったピロシキ屋さんが近くにあるんだって!」

宿舎の近所にあるらしい世界の珍味ピロシキの広告には麻婆豆腐が詰まった中国風ピロシキやキーマカレーが詰まったインド風ピロシキ等イギリスのフィッシュ&チップスやスペインのパエリア、アメリカのハンバーガーなどなど様々な国の名物と呼べる具材が詰まった夢のピロシキが売っていると大々的に書かれていてその中でも一層目を引いたのは母国日本を謳った日本風ピロシキだった。

「肉じゃがピロシキ.....!こんなの美味しいに決まってるじゃん!」
「肉じゃが....一見微妙と思わせて絶妙なところを突いて来ましたね。」
「イギリス風ピロシキとか半ばお遊びなのに日本はまあまあまともだな。」
「てかスペインとなアメリカ風ピロシキとか炭水化物の化け物かよ...」

チラシの肉じゃがピロシキに想いを馳せる中同じくチラシを見る基山くんと不動に吉良で各々が広告に写るピロシキの感想を述べる中私はもう居ても立ってもいられなくなった。

「私ちょっと肉じゃがピロシキ買いに行ってくるから何かコーチに言われたらそう伝えといてねっ!」
「へいへい、三宅ユカが自分が戦力外の使い物にならない事を今更自覚して日本に帰ったって伝えといてやるよ。」
「それよりも毛蘭々に改名して中国チームのサポートに回ったって言った方が面白いんじゃねえの?」
「おいヒロト、三宅さんが過去に毛蘭々という版権スレスレの偽名で国籍まで偽って星章学園に潜入した話は三宅さんの黒歴史だから軽々しく口に出したらダメだろ。」
「私あんたたちに何かしたっけ?それとフォローしてる風に見せかけた基山くんのやつが一番ダメージデカいんだけど、傷口に塗りたくるのやめて。」


買い物に行く節を伝えといてって言っただけでここまでいじられてしかも最後ちゃっかり「俺は中国風。」「俺はスペイン。」「俺はこのベトナム風のフォーピロシキで。あっ、パクチーは抜きでお願いしますね。」とピロシキのパシリ、略してピロパシさせられる私ってもしやだいぶ舐められてる...?と軽いショックを受けながら財布とチラシを片手にピロパシすべく宿舎を出ると「三宅さんどこに行くんですか?」と偶然宿舎の出入り口の前で万作くんと光くんに声をかけられた。

「今からピロパシしに行くんだ...。」
「ピロパシ?」
「ああピロパシっていうのはピロシキとパ....」
「へえ〜世界の珍味ピロシキなんて食べ物があるんですね。」

ピロパシという単語に不思議そうな顔をする光くんと万作くんにせっかく何の略なのか教えようとしたのにいつのまにか私の手からチラシを奪っていた光くんによって2人の意識はチラシに集中してまじまじとチラシを見ている。いや、私の扱い。

「日本風ピロシキは寿司じゃなくて肉じゃがか....」
「まあまあ万作くんの分もピロシキ買ってくるから元気だしなよ。」

しょぼんと肉じゃがピロシキを見てしょげる万作くんにいや流石に寿司はないな、と心の中では思いながら慰めていると光くんが突如大きな溜息を吐いた。

「どうしたの光くん?」
「いや俺はこういうたこ焼きにポン酢かけるような邪道なの好きじゃないんですよね。目玉焼きにはソースだしやっぱり王道が一番ですよね。」
「え?私たこ焼きにはポン酢かけるし目玉焼きには醤油なんだけど。」
「はい?」

バチッと私と光くんの間に火花が散る。光くんとは別に仲が悪い訳じゃないけど時々こうやって食の対立が起きているというか食に関してはとことん気が合わない。トンカツにはソースかデミグラスかゆで卵は半熟か完熟か等言い出したらキリがない。結局の所光くんはタケノコ派だった訳だし万が一私と光くんが恋人同士になったら交際初日に食の方向性の違いで破局するだろうって私たちはバンドか。

「こういう形で登場するからこそロシアのピロシキという存在が世界中に知られるキッカケになると私は思うんだけど。」
「こういう邪道の存在の所為で伝統が廃れるし間違った形で世に知れ渡るくらいなら少数の人だけが知っている方がいいです。」
「いやいや色んな人種がFFIによって入り混じる中に登場したこの世界の珍味ピロシキはまさに食のグローカリゼーションを....」
「まあまあユカさんも光も落ち着いて...ほら光、俺たちそろそろ行かないとだろ。」
「そうだね万作くん。....またいずれ決着をつけましょうね三宅さん。」
「...またいずれ、ね。」

飛び交ってた火花の消火活動が万作くんによって成された末最後に両者共に笑みを浮かべ背を向けた......その時だった、「三宅さん。」と光くんに呼ばれたのは。何だ結局今ここで決着をつけようって?ふふ、なるほどなるほど、それはそれで面白いじゃない...!とお前誰?って感じのテンションで振り返ると光くんの口が徐に開いた。


「俺の分は韓国風プルコギピロシキでお願いします。」
「いや結局食べるんかい。」

結局自分の分以外で5つものピロパシが課せられこれは思った以上に荷物が重くなりそうだな...と思いながらお店に向かって歩いていると程なくして到着しお店の前には結構長い列があった。けれどきっと並ぶことになるだろうと思っていた私は狼狽える事なく最後尾へと並ぶ。ああそれにしても良い匂いだなぁ、と漂う匂いに肉じゃがピロシキへ思いを馳せていると前に立っている人のポケットから財布と思わしきものが落下した。どうやら気付いてない様子にそれを拾って同じくらいの位置にある肩を叩くと振り返った。

「これ落としましたよ?」
「え、オレの財布...ああ、うっかりしていたよ!ありがとう!」

振り返った先に居たのは同じ年くらいの男の子で私の言葉に自分のポケットに手を入れた後財布が無いことに驚き笑顔で礼を述べながら私の手から財布を受け取った。深いブルーの瞳が印象的で外国の子かなって思ったけどうちのイナズマジャパンを始めアジア出身者でもアジアらしからぬ色彩をしているから目の色だけでは判断できない、特に星章学園とか星章学園とか星章学園とか色彩やばいじゃん、あのサッカー部だけで色鉛筆作れそうじゃんとFFで戦った相手を含めて派手な色彩の選手を思い浮かべていると急に目の前の彼にギュッと両手を握られた。ん?と思っているとブルーの瞳がじっと私の方を見つめていて頭の中のハテナが倍増する。


「...どうやらオレは財布と一緒にもっと大事なものを落としてしまったみたいだ。」
「えっ大丈夫ですか、一緒に探しましょうか?」
「そんなのもう君が拾ってしまっているよ。」
「私が......?」

なんだろう、どんな大切なものを落として何を私が拾ったと言うのだろ......はっ!もしやあれか!中身か!財布の中身なのか!財布の中身が無いから私が中の札や玉を奪っていると思われている....?って待って欲しいそれは濡れ衣だ、私は断じて中身は拾っていない...!

「多分それ私じゃ無くて他の人が拾ったと思いますよ?」
「そんなオレは君以外には拾われたくないんだけどな?」

そういう時彼は少し首を傾けて手を握る力を強くした。やばいぞ、かなりの力で掴んでくるぞこの少年。そんな言い逃れで逃げられるとでも思ってるのか犯人め!って手に籠る力で訴えかけてくる...!

「拾ったからには責任取ってくれるよね。」
「せっ責任も何も私は本当に拾ってな...」
「じゃあこの胸のドキドキをオレはどう説明すればいいんだい?」
「ドキドキ...?」

ドキドキってムカつきすぎてドキドキしてるの?それは日本語ではイライラって言うんだよ国籍不詳の少年よ...と縋るように見つめてくる少年に心の中で訴える。そんな金返せって縋られても知らないものは知らないんだって.....!

「あっあの!本当に私財布の中身は取ってないんでこれ以上詰め寄るのはやめてもらっていいでしょうか?」
「え?財布の中身?」
「お札も玉もカードも何も取ってないので本当勘弁してください!なんなら身体検査にも応じるので!」

今度は私が少年に縋る番で必死になって手を握り返して言うと少年はパチパチと数回瞬きをしたのち急にあははと笑い出した。

「ははは!全く通じてないなと思っていたらそう言うことか!なるほどね!」

なるほどと一人納得した様子で頷いている少年の姿に一体何が....?とポカンと眺めていると「君って面白いんだね!」と少年にいい笑顔で言われた。面白いというこの手の話では擦り切れるまで使われている対象物に興味を持つときの十八番な台詞にとりあえず「あっありがとう?」と困惑しながら返すと「もっと気軽の話そうよ!」と言われた。えらいグイグイくるなこの少年と思っていると「あっ!自己紹介がまだだったね!」と立て続けに言って自己紹介を始めた。


「オレの名前はフィディオアルデナ。イタリアからFFIの試合を観戦するために来たんだ。」

フィディオアルデナと名乗った少年は最後に「フィディオって呼んでね?」と言ってパチンと綺麗にウインクをした。フィディオアルデナか....どこかで聞いた名前というか円堂が主人公の世界線でのFFIで結構な活躍をしていたから知らないはずが.....ってそろそろそういう発言をやめないとカード切るからな?次はイエローカードだぞ三宅ユカ。

「君の名前も教えてもらっていいかな?」
「私は三宅ユカだよ。」

さっき気軽に話そうと言われたから敬語をやめて言うと「ミヤケユカ!キュートでステキな名前だね!」とフィディオくんは褒めてくれた。豪炎寺を筆頭に実に突飛で愉快な名前が多いこの世界ではどうしても凡庸に分類されてしまうこの名前について褒められることは愚か触れられる事すら殆どないのでちょっと照れくさい気持ちになっていると「じゃあミヤケって呼ぶね!」とフィディオくんはニコニコと笑顔を浮かべて言った。そこはユカじゃなくてミヤケなんだ、と思ったけど多分これ外国だと苗字と名前が逆になるからフィディオくん“ミヤケ”が名前だと勘違いしてるやつだな。まあ別にどう呼ばれても構わないからいいけど。

その後フィディオくんと他愛ない会話を交わし気付けばくん付けをやめるくらい仲良くなって長かった列もあっと言う間にフィディオが注文をする番が来た。フィディオからイタリア風シチリアレモンピロシキの注文を受けた店員さんは奥に入って行った。イタリアはパスタとかピザじゃ無くてレモンなのね、レモンのみなのね。何故アメリカやイギリスはハンバーガーやフィッシュ&チップスが来てイタリアはシチリアレモンなのかメニュー発案者の意図が知りたいところである。

「今日はオレお使いで来てるから買ったらすぐ行かなきゃいけないんだ...だからもうすぐお別れだねミヤケ...」
「そっか...」

シュンと見るからに落ち込んだ表情をしたフィディオの姿につられて少し悲しくなる。フィディオと話し出してからは長いと思っていた列が知らないうちに無くなっていてつまり私はフィディオとの会話を楽しんでいたわけでもう少し話したかったなというのが本音である。

「...連絡するからまた話してくれる?」
「もちろん!また話そうね。」

けれど今の時代便利なスマホによって秒で連絡が取れてしまうからそこまで悲しむ必要もない。会話の最中連絡先を交換する場面があってそれぞれのスマホにはお互いの連絡先が入っているしいつでも連絡可能である。まじでスマホは国境に掛かる通い合える心の橋だリーヨ、つ◯がリーヨ、広がってリーヨ、リーヨリーヨリーヨ。

「ミヤケ....!さすがオレのアモーレだよ!」

私の言葉に表情を一変させてキラキラと目を輝かせて言ったフィディオのアモーレの意味はわからないけどアミーゴっぽいからきっと友人よって言ってくれてるんだろうなと思っていると店員さんがフィディオの分のピロシキを持ってきてフィディオはそれを受け取った。

「じゃあねミヤケ!すぐ連絡するからね!」
「うん!気をつけて帰ってね〜」

ウインクをして手を振り去っていくフィディオに暫く手を振り背中が小さくなるのを見届ける。
そして小さくなった背中が人混みの中に消えたのを確認し私は店員さんの方に向き合った。

ふふふ、遂に待ちわびていた私の番だ!と店員さんを目の前に気分が高揚していく。

「ご注文はいかがなさいますか?」
「とりあえず肉じゃがピロシキを....」
「すみません。予約していた者ですが。」

遂に肉じゃがピロシキだ!とウキウキ気分で注文カウンターのあるメニュー表にある肉じゃがピロシキを指して店員さんに注文をしようとした...その時だった、予約客を名乗る男が突如横入りして来たのは。

「ご予約ですか?当店はご予約の方は承っていな....」
「こう言う者ですが今すぐ店にある分全部下さりますよね?」
「ギッギリカ....!?もっもちろんでございます!今すぐご用意致します!」

角度のせいで顔は見えないけどこの声どこかで聞いたことがあるような...?と思っているうちに店員さんは男の言葉と男が見せたカードのような物に顔色を変えて店の奥へ行ってしまった。あれ、結局私の注文は...?と店員さんがいた注文カウンターをポカンと見ていると「おや?君はもしやイナズマジャパンのマネージャーさん?」と頭上から横入りして来た男の声が降って来た。待てよやっぱりこの声...あっ!そうだ!あの人だ、あの人!

「新条さんだ!...よしっ!正解!」

顔を見ずに彼の名前を言った後答え合わせだと顔を上げるとやっぱりそこに居たのはロシアに発つ前船上で行われた壮行会主催者である新条さんだった。おぉっと!ここで赤パネルの三宅ユカさんがアタックチャンスを決めたことにより青パネルが一気にひっくり返る!青パネルのモブ山モブ男さんこれは痛恨の一撃です!...と正解したことによって日曜の昼に放送されてる某クイズ番組を一人で脳内で繰り広げていると新条さんはクスクスと笑い出し「君は三宅ユカくんで当たっているかな?」と笑顔で尋ねてきた。

「あっはい!私は三宅ユカで...あっなんか勝手にクイズに正解したみたいなリアクションしちゃって失礼でしたね...ごめんなさい。」
「大丈夫だよ。元気があることはいい事だ。」

思い返すとかなり失礼な態度をとってしまったにも関わらず新条さんは笑顔を絶やさずに言ってくれてホッとしたのも束の間で奥から注文カウンターの店員さんを含む五人ほど店の人が出てきてみんなダンボールを抱えている。

「大変お待たせいたしました!在庫の分全てご用意いたしましたのでお車までお運びま致します!」
「ではお言葉に甘えて。車は彼方で鍵は開いているのでよろしくお願いします。」

新条さんが指した車に向かってダンボールを続々と運んでいく店員さんを見つめながら店員さんが言っていた‘在庫分全て’という言葉にもしや....と嫌な予感がしていると新条さんが話し出した。

「実は今日ギリカナン様からの申し付けを受けてね。ここのピロシキを各国から招いた客人に振る舞うために予約しているから今日の在庫の分をすべて引き取ってくるようにと言われたんだ。」
「ということは...私の肉じゃがピロシキは...な..い...?」

今日の在庫全てと言うことは私今日はもうピロシキ食べれないってこと?肉じゃがピロシキにご対面できないってこと?せっかく並んで遂に私の番って時にこんなのって...こんなのってないよ...。でっでも予約してたなら仕方ないから今日は潔く諦めるべきだよね、うんうん、そうすべきだ。と全然諦めがつかないけど諦めるようにと頑張って自分に言い聞かせているとスッと目の前にお店のロゴがプリントされた白い紙袋が差し出された。

「肉じゃがピロシキなら三宅くんに分けてあげるよ。」
「しっ新条さん....!」

車へとダンボールを運ぶ店員さんから一つ取り出してもらったらしいピロシキを差し出しながら笑顔で言った新条さんの優しさに今すぐにでも泣きそうになった。なんか新条さんギリカナンとかいう髭のシミ抜きができてない悪いおじいさんの代理とかしてるから悪い人かなとか思ってたけどそんな悪いおじいさんからのお使いの一部を分け与えてくれるなんて普通に良い人説あるよこれ、ワンチャンあるやつだよこれ。
感極まって抱きつきそうになる衝動を抑えて私はピロシキを受け取った。ああ、袋越しでもわかるこの温かさにこの香り...ついに私は肉じゃがピロシキを手にしたんだ...!と興奮気味にピロシキを掲げていると手首を新条さんに掴まれた。何だ?と思って新条さんを見上げると新条さんはニコリと笑っている、

「受け取ったと言うことは契約成立だね三宅くん?」
「へっ...?」


ただ目が笑っていなかったけど。


......てな事があって冒頭に戻るわけだけどどうやら私がピロシキを受け取る前に「もしこのピロシキを受け取ったら君に会いたがっている人の所まで連れて行くことに承諾したことになるよ。」と言いたかったらしくそれが新条さんが言う契約らしい。興奮のあまり聞き終わる前にピロシキを受け取ってしまった訳だけど「受け取ったからには付いてきてもらうよ?」と目の笑ってない新条さんに大量のピロシキと共に車の後部座席に乗せられて私は絶賛信条さんの運転する車の中にいると言う訳だ。

......てかピロシキと言う食べ物を餌に車に乗せられてよく分からないところに連れていかれてるって今更だけどこれって俗に言う....


「誘拐、もしくは拉致に該当するのでは....?」
「物騒な言葉を使うんだね。私は三宅くんと契約したまでだよ。」

私の誘拐拉致と言った言葉に笑いながら言った新条さんにテレビの番組などの再現ブイで見る誘拐犯や拉致犯のような怪しさは無いし契約と言われればそうではある。だけど車に乗るまでの流れが完全に誘拐拉致だよねこれ。

「でも拉致ってもっとこうあれだもんね...なんか布に怪しい液体染み込ませて眠らせてる間にとかロープとか布で拘束したりしてやるものなイメージだからこれはやっぱり誘拐拉致ではない....?」
「三宅くんの独り言聞こえているからね。それにしても拘束系が好みとは次からはそうさせてもらおうかな。」
「別に高速道路で行こうが一般道で行こうが好みもこだわりもないんで私は構いませんが...?」
「それは“こうそく”違いだね。.......全く話せば話すほど本当に彼女が一星充を騙して使徒だと言うことを炙り出したのか信じれなくなるよ。」

「それは“こうそく”違いだね。」と言われてからも何やらボソボソ言っていたけどよく聞こえず、「何か言いましたか?」と訊ねようとした矢先新条さんは振り返って私を見た。おいおい前向いて前向いて、安全運転大事だよ、そういう事するから高速道路の入り口でETCカード専用レーンに入ってレーンの棒折っちゃう事件が起きるんだよ、と新条さんを見つめながら思っていると信条さんは一つ小さな溜息を溢したのち前を向いて運転を始めた。何だったんだろうなと疑問に思いつつも訊ねるタイミングを掴み損ねたので私は大人しく与えられたピロシキを食べ進める事にした。因みに信条さんの車にはETCカードが設置されてたみたいで数分後に到着した高速道路の入り口では専用レーンを颯爽と潜り抜けていたってどうでもいいねこの情報。

to be continued...



〜次回予告〜

「ここは.....?」
「やっと来たか新条。」
「はい。お待たせいたしました。」

三宅ユカが新条琢磨に連れられた先に待っていたのはーーーーー

「私はベルナルド、ベルナルドギリカナンだ。」

ベルナルドギリカナンを名乗るオリオン財団の男だった!!!

「え?ギリギリ課題間に合わないかなっておじいちゃんじゃ....?」
「...なんだその変な言い方は、ふざけているのか。」

敵陣地でも所構わずボケをぶちかます三宅ユカとベルナルドギリカナンの間に一触即発の空気が走る!!

「バカで脳天気で何も考えてなさそうだと報告書に書いてあるしな。」
「なんですかその悪口100%の報告書は。成績最悪だった去年の通知表でもまだマシなこと書いてくれてましたよ、『クラスメイトを笑顔にする近年稀に見る名ピエロ。』って書いてくれてましたよ。」
「それもまあまあな悪口だと思うが...?」

果たして三宅ユカはどうなってしまうのかーーーー!?


☆次回!『“ギリギリ課題間に合わないかな”はギリカナンのあだ名です!』乞うご期待!!!

※放送内容は予告なく変更する恐れがあります。