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赤シート、それは学生なら一度は手にしたことがあるだろう、いわば学生にとっての三種の神器。赤く書いた文字をまるで魔法のように消してくれる道具は主に暗記の時に本領を発揮し、デジタルが加速する現代においても古典的な手段として未だ愛される道具である。

そんな赤シートだが、君はもっとユーモアある使い方があるのをご存知だろうか?え?知らないの?マジ?...ちょっと君、勉強のしすぎなんじゃない?もっと肩の力抜いて人生生きなよ。手始めに放課後カラオケとかどう?って話が逸れちゃったけど......、その赤シートのユーモアある使い方というのは....

「行くぞ!」
(来た!)

現在、客席から下に拡がるフィールドで繰り広げられてるのは星章vs木戸川の試合で、木戸川の強化委員として派遣された豪炎寺が地を深く踏んだその瞬間に赤いマークシートを目の前に掲げた。

「ファイアトルネード!!」

ぐるぐるぐるぐる、と私の目の前に見えるには空中をぐるぐると回転する豪炎寺でカッコいい炎のエフェクトは赤シートのお陰で全く見えない。
そう、これがまさにユーモアある使い方である。ファイアトルネードをする豪炎寺を赤シート越しで見ることで、ただひたすら回転するだけの面白い豪炎寺を見ることが可能なのである。いやーやばい、まじで最高に面白い、傑作すぎる、と周りに人が全然居ないことを良いことにアハハと声を上げて笑う。全く、監督が「強化委員なんだから試合の全体を見渡せる席に座るべきですよねぇ」ってこんな席指定しなかったら他のみんなにも教えてあげられたのに...!もったいないなぁと思いながら見ているとポンっと肩を急に叩かれた。

「うわぁ!!?」
「おっと...」
「野坂さん、大丈夫ですか?」

私以外存在しないとばかり思っていた区画にまさか人がいるとは思わずオーバーリアクションで振り返るとそこに居たのは、かの有名な二人だった。

「あっ...!野坂悠馬に西蔭政也だ!」

そう、今回のFFの注目株の一校である王帝月ノ宮のリーダーであり要の野坂悠馬に鉄壁のキーパーと呼ばれる西蔭政也がそこに居たのだ。野坂悠馬は「おや、ご存知だったとは」と無表情のまま私を見下ろしていて、背後に立つ西蔭政也と同じ無機質な眼差しにぶるっと少し鳥肌が立った。

「あなたは三宅ユカさん、現雷門で強化委員とマネージャーを兼業なさっているんですよね」
「あっ、ええ...そうだけど」
「...新生雷門をあんな島から来た人間で固めている上に、強化委員はマネージャー経験しかないあなたのみ、...今後の雷門が見ものですね」

会って早々野坂悠馬の口から放たれた挑発的な言葉に、さっきまでグルグル大回転豪炎寺で笑うことで昂っていた気持ちが一気に冷めていく。それに反して込み上げてくるのは怒りの感情で、「随分生意気言ってくれるじゃない」と言うための立ち上がった、........その時だった。
もう聞いただけで条件反射で鳥肌がたつ聞き慣れたさざ波の音がスタジアムに響く。「帽子、落としましたよ。」という自分の声に顔がヒクついて、ギギギという音が首から鳴りそうなくらいに鈍く首をスタジオのモニターへと向ける。そんな、私が不自然に言葉を紡ぐことをやめたのに気付いた2人の視線もスタジアムの液晶モニターへと注がれる。あーーやめてまじでやめて.....

「あれあなたなんですね。」
「たったったっ他人の、空似です。」
「ふーん悪くないじゃないですか、ねえ西蔭。」
「野坂さんがそう仰るならそうなんでしょう。」
「いや自分の意思、自分の意思ないんかい。」


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全然書けませんでしたが、スポンサーcmを沖縄で氷浦と撮ってその先で綱海と知り合う予定でした。懐かしいな........