「は…、う…っ」

正直、限界はもうすぐそこまで来ていた。
イくなと言われていなければ今頃は絶頂に達していただろう。

「くっ…」

バーナビーは苦しそうな表情を浮かべてひたすらシーツを握った。
普段だったら我慢しろと言われても我慢しなかったかもしれない。しかし今は違う。虎徹の言う"お仕置き"が、バーナビーには想像が出来なかった。
正直、怖い。何をされるのか想像がつかないのは恐ろしい。

「気持ちいい?」

その質問になんて答えれば良いのか、バーナビーにはわからなかった。
もしも虎徹の期待通りの返事が出来なかったらと思うだけでぞっとする。

そうしている間にも虎徹は中で指をバラバラに動かし続けていて、バーナビーは正気を保っているのが精一杯だった。
バーナビーは一瞬の躊躇のあと、なるべく素直でいようと目をぎゅっと瞑ったままコクコクと頷いた。

「…気持ち良いんだ、可愛いなお前は」
「……っ」

ずるりと指が全て外に抜ける。
突然のことにバーナビーが驚き涙の滲む目を開くと、そこには虎徹のそれがあった。

「可愛い」
「…っあ……」
「…そんなんだから、」

虎徹は自分のそれを、先ほどまで執拗に広げていた蜜壷に宛がう。

「……苛めたくなる」

そして、これから自分を襲うであろう衝撃に怯えるバーナビーを構うことなく、虎徹は自身のそれで一気にバーナビーを貫いた。

「…っああ…!」

普段の虎徹なら全てを一気に入れたりなどしないし、入れたあとはしばらく慣らすために時間を置く。
なのに今の虎徹は全部突き刺した直後に激しい律動を始めた。

がくがくと身体を揺さぶられ、バーナビーは断続的に悲鳴に近い声を上げた。
それでも虎徹の動きは止まることも、緩やかになることもない。

「待っ……イっちゃうから……!」
「イけば?」
「だ、て…お仕置きって…!」
「するよ?」

喘ぎの中で必死に言葉を繋ぐバーナビーに、虎徹は身体を揺さぶりながら短く答える。
虎徹は内心ほくそ笑んでいた。日頃から中だけで絶頂を迎えられるようにと時間を掛けて調教した身体が、こんなに前立腺を刺激されて達さないはずが無い。
別に"お仕置き"の内容は考えていなかった。するつもりも無い。何も考えずにただ言葉を発し、バーナビーの反応を楽しんでいただけだ。だからギリギリまで我慢してから早く射精してほしい。限界まで耐え、苦痛に顔を歪ませて、絶望に満ちた表情で、快楽に溺れる様を見たい。

ついにポロポロと涙を零し始めたバーナビーは、歯を食い縛り快楽に耐えていた。
すると、何を思ったのか、バーナビーは身体を激しく揺さぶられながら自分の手を下半身に伸ばし、自分の勃ち上がったそれの根本を握った。

「…、なに、どうしたの」

バーナビーは、熱いそれを握った手を動かさない。自分で扱いて更なる快感を得るのが目的ではないようだ。となると、行動の意味はこれしか考えられなかった。

「イかないようにしてんの?」

つまり、射精抑制。余程"お仕置き"という言葉が怖いんだな、と虎徹は満足げに笑う。
そんなバーナビーの努力だって今の虎徹にとっては欲情する材料にしかならない。虎徹は、目を瞑って涙を流しながら喘ぐバーナビーの腰を掴んで思い切り前立腺を刺激した。

「こんなにされてんのにイけないって、どんな感じ?」
「…ふ、…あ…っ!」
「お前って本当……」


その瞬間、虎徹ははっとした。
気が付いたら、バーナビーの家にいた。しかも寝室の、ベッドの上にいる。さらに自分はバーナビーの腰を掴んで、――。

「……!?」

何をやっているんだ、と虎徹は軽く混乱した。
どういうことだ、何故こんなことに。
どんどん思い出す記憶は、どれも自分がとった行動とは思えないくらい冷酷な行動に、バーナビーの泣き顔や、震える声だ。

どうしよう、と虎徹が身体の動きを止めたまま考える。
とりあえずバーナビーの中から自分のものを抜いて、それから謝って、と思いつく限りの行動を頭の中で順序立てる。

そして抜こうとした瞬間、ぎゅっと目を瞑っているバーナビーが声をあげた。

「…どうして止めるんですか…っ、早く、動いて下さい…!」
「えっ」

バーナビーが、あれだけ激しかった律動が突然止まったことに物足りなさを覚えてしまったらしい。

「早く、下さい…!」
「……!」
「虎徹さんの、…奥まで…!」

"どうして欲しいのかちゃんと言う"ということを覚えさせられてしまっているバーナビーは、虎徹の命令も無しにそんなことを言い出す。
そんなバーナビーの悩ましい姿に、虎徹が欲情しない筈がなかった。

バーナビーは相変わらず自分の根本を握ったままだったが、そこには言及せずに虎徹は律動を再開させる。先ほどまでと打って変わって、自分の欲ではなく相手の欲を満たすような虎徹の動きにバーナビーは翻弄された。
挿し込まれる瞬間も、抜かれる瞬間も、良い所を突かれる瞬間も、全てが強い快楽に変わる。

「ぁ…あああ…!!」

本当だったら握った手を離させてから絶頂に導いてやるべきだったが、副作用の効果が切れたばかりの虎徹にそんなことを考えられるわけもなく、バーナビーは中だけで達してしまった。
射精を伴わない絶頂を迎えたバーナビーに、虎徹も中からそれを抜いてから射精する。

「バニーちゃん…」
「…ん、……ぁ…っ」

所謂ドライオーガズムと呼ばれるその絶頂は、普通の絶頂よりも快楽が強く、長く続く。
まだ快楽が止まらないらしいバーナビーは、虎徹が身体を離したあともまだびくびくと小刻みに震えながら余韻に浸っていた。

「いつの間にそんなドMみたいになっちゃったの…」
「…ぁ…、……え?」

バーナビーが横たわったまま薄目を開けて虎徹を見た。睫毛はふるふると震えている。

「…も、戻ったんですか、虎徹さん…!」
「ん…今さっきね…酷いことしてごめんねバニーちゃん」
「いえ……っ…」

未だに絶頂が続いているらしいバーナビーの耳に、玄関のドアが開く音が聞こえた。
なんだろう、と警戒するが身体に力が入らない。

そして、思い出す。

「…虎徹さん!斎藤さんが…!」
「え?」
「斎藤さんに、ドア開いてるから来て下さいって、言ったんです!」

ちょっと待てよ、と虎徹が叫んだ。
急いで脱ぎ散らかした服を着るが、部屋の精液臭さをどうやって誤魔化そうかと考える。

「も、僕が、廊下まで出て、薬受け取って来ますから……、ん、ぁあ…!」
「さっきからイきっぱなしだろーが!駄目!それは絶対駄目!」


その直後にハッキリと聞こえてくる廊下の足音に、2人は絶望的な表情を見せた。

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