暗い闇の中で僕は覚醒した。
無意識に身体を動かそうとして、それが出来ないことに違和感を覚える。
(―……?)
何度か身体を動かそうともがいていると、僕が目を覚ましたことに気付いたかのようなタイミングで照明にスイッチが入り、室内が照らされる。
壁や床がひたすら真っ白な部屋の中には何もなく、ただ閑散としていた。
(……な、何だ、これ)
照明がついて何気なく自分を見ると、やっと自分が全裸であること、それから自分が病院で治療中に患者を座らせるようなイスに座らされていることに気付いた。
さらに腕や胴、それから両足を機械のアームのようなもので頑丈に固定され、身動きが取れない状態にされていた。
どうしてこんな事になったのか、混乱した頭で必死に考える。
そうだ、虎徹さんと別れ、オフィスを出た瞬間いきなり殴られて、そのまま意識を無くしてしまったんだ。
身体をめちゃくちゃに動かして、なんとか逃げ出そうとする。
普段からトレーニングをして鍛えられているとはいえ僕の身体を拘束する器具は頑丈で、拘束具はびくともしなかった。
能力を発動するべきか。
するとそのタイミングで、部屋のドアが開いて白衣を着た男が何人も入って来た。
「起きていたか」
「な、何ですかこれは」
男は眼鏡を指で軽く持ち上げ、口元に笑みを浮かべながら言った。
「実験だよ」
「…なんの実験ですか」
その問いには答えることなく、男は椅子に取り付けられている何個かのボタンのうち一つを押す。
すると、脚を固定している台が動き出し、ぴくりとも動かすことが出来ない僕の脚をギリギリまで左右に大きく開かせて動きを止めた。
全く理解できない状況に困惑する僕の大きく開いた股座に突然、機械音とともに棒状の物が現れた。
それは丁度男性器の形をしたもので、何かが塗られているのかそれは濡れている。
そしてその男性器を象る所謂「張り形」と呼ばれるそれがゆっくり動きだす。
それがこのあとどういう行動に出るのかくらいは、混乱した頭でも理解出来た。
「やめて、下さい…!」
「カメラ回せ、よく観察してしっかり結果を録りなさい」
はい、という何人もの返事とともに、男達が動き出す。
「痛くはないはずだ。その張り形には即効薬を塗ってあるからね」
「…っ、やめ、やめて下さい、お願いします…!」
自分で身体は動かせないから、僕は必死に男達に懇願した。しかしやめてくれるはずもなく。
張り形は、開かれた僕の後孔に当てられ、そのまま徐に穴の中に埋め込まれていった。
「うあっ、うっ、んっ、あぁぁ……」
「良い声で啼くな…」
先程この男に言われたように、張り形の表面に塗られたもののせいかあまり痛みもなく、それは根元まで僕の中に収まる。
痛くはないが、それに与えられる圧迫感は凄まじく、苦しい。
しかし、すぐに張り形を飲み込まされた後孔が酷く熱く疼き出した。
それは後ろだけでなく前にまで及び、芯が徐々に硬度を増していく。
「な…何、これ…っ!」
「早速勃ってるな…」
張り形に塗られている"即効薬"とは恐らく媚薬のことだ。
そう理解した瞬間、恐怖に竦み上がっていた僕の身体に完全に火がついてしまった。