「…忘れたって、」
「多分、今僕は悲しいんです。でも、涙なんて出てこない」
「バニー」

身体を抱きしめたまま、ベッドに押し倒すように体勢を変える。
俺がバーナビーに軽く圧し掛かるような体勢だ。苦しくないだろうか。

「それは、我慢してるだけだ。我慢しすぎて、それを無意識でやるようになっちまってるだけだ」
「……」

幼くして両親を亡くした、その時には涙も零れたかもしれない。
それ以降はきっとずっと泣くのを我慢してきたのだろう。
辛いことだって沢山あっただろうに、それでも泣いたら、何かが壊れると。

「…先輩、」
「バニー」
「先輩、僕は、独りです」

虎徹は、バーナビーのバスローブを肌蹴させ、露わになった下半身のそれに舌を這わせた。

「…っ、」
「俺がいるだろ」

先ほどのやり取りの繰り返しだ。
"独りです"は、"独りにしないで"の意味。

「俺は、ここにいる、わかるか?」

虎徹はバーナビーのそれをゆっくりと咥えこんだ。

「あっ…」

熱に包まれ、バーナビーは声を洩らす。
ねっとりと舌を這わされながら吸い上げられ、反射的に腰が跳ね上がった。

「…ふ、っあ…」

虎徹が時折ひくつく芯根元まで飲み込み、唇で締め付けながら先の方まで吸い上げると、バーナビーは虎徹の髪を掴んで首を振る。

「や…」

先走りを溢れさせる先端に舌を押し付け、唾液と体液に塗れた芯を手で扱き上げた。
暫くそれを続けてから、勃ちあがりきったそこから口を離し、虎徹はベッドサイドの小机からローションを取り出した。
これは、虎徹がバーナビーの家に泊まるようになってから、ほぼ常備されているものだ。

「バニー、力抜いてろよ」
「ん…っ」

ローションを纏った指を、バーナビーの後孔に侵入させる。
途端に溶けきった顔になる彼を見て、虎徹はすぐにもっと乱れさせたいような衝動に駆られた。

ローションの滑りを使って、虎徹は侵入させている指を2本に増やした。
中で、後孔を押し広げるように指をバラバラに動かす。

「あ…、あ、はっ…」

バーナビーは、自然に浮かんでくる涙の中に翠の瞳を揺るがせながら、声を抑えるために唇を噛み締めていた。
不意に身体の中なら溶けてしまいそうな感覚に襲われると、バーナビーはシーツを強く掴み、目をぎゅっと閉じた。

「大丈夫か?」
「…は、い……っ」

濡れて艶めくバーナビーの後孔に、虎徹は自身を押し当てる。
バーナビーは一瞬だけ空気を切るような音を出して息を止めたが、すぐに力を抜こうと努める。

狭い入り口からゆっくりと入り込み、先端まで飲み込ませる。
少し締め付けてきたが、虎徹は歯を食いしばって淡い痛みに耐える。

「…あっ、う…」
「…バニー、全部入った」

時間をかけて自身の全てを埋めると、虎徹は少し前のめりになってバーナビーの髪を片手で梳く。

涙を堪えながら、バーナビーは震える口を開く。
「先輩、」
「ん?」
「…独りに、しないで、下さい」

それだけ言うと、バーナビーは箍が外れたようにポロポロと泣き出した。
シーツを握る手に力をこめているのか、拳の色が白くなっていた。

「バニー、俺が中にいるの、わかるか?」
「…はい…っ」

どんな方法でも、彼に"自分がここにいる"ということを伝えたかった。
バーナビーが、独りじゃないのだと。



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