「んあ、も……や……ぁ…」

何だかんだといって、普段バーナビーはそう簡単に己の理性を手放さない。
激しく攻め立ててその限界を超えさせ、本人の自意識の制御を吹っ飛ばすのが虎徹の密やかな趣味である。

「んん、あ……っ、あ、ああッ……」

匙加減は相当に難しい。
日頃鍛えているおかげで結構ある体力で本気で攻め立てすぎれば、バーナビーは容易く意識そのものを飛ばしてしまう。

ただひたすらに高めた体を、それでも解放させないままにぎりぎりのところで快楽を保ち続け、口元までひたひたと過ぎる快楽に溢れさせたままに維持させるという、繊細なラインの責めで、そう頻繁に身を接する機会があるわけでもないので、成功するのは精々年に数度あるかないか。

限度ギリギリまで昂ぶったまま放出を許されなかった身体は、何度でも空達きして徐々に狂っていく。
そうして、ぐずぐずと溶かされた体は、臆面もなく泣きじゃくりながら甘やかな風情で虎徹の前に晒される。

多分最初は口の端を零れ落ちかける滴が気になって口元に手を持っていたのだろうが、そのうち体の中から炙る激情を収めがたく、どこか必死な仕草で己の左手を噛んでいる。

息も絶え絶えに喘ぎながら、綺麗な形をした指や爪をあられもない仕草で咥えてしゃぶり、それでも尚虎徹をひたすら求めて熔けて震える眼差しがあちこちを彷徨う。

右手が縋り付く相手を求めて、己の腿を掴む虎徹の腕を手探りに探す。
その己の内腿を辿っていく仕草が酷く煽欲的だった。

白い指が、這う生き物のようにそろそろと己の肌の上を探っては前に進む。

浅黒い手に行き当たり、指が少しだけ安心したように動きを止める、その刹那虎徹の手がバーナビーの両足をぐいと開く。
その動きで、バーナビーの足に添えられていた彼の手が、まるで自ら己の足を開いて己の深い場所を虎徹に差し出しているような形になる。

潤んだ目が、ようやく虎徹をひたと捕らえる。

「ふ…あ………ああ、ん」


欲しい場所に当たっていないのだろうに、身じろぐ微かな擦れにすらバーナビーは喘ぐ。焦らしていいのか満たしてやった方がいいのか、加減の読みが難しいところだ。

「バニー」
「あ…あああ…ッ」

僅かに身を乗り出して虎徹がその耳元に低く呼びかけると、その声にさえ何かを拾いバーナビーの体が震え上がり、内にある虎徹をきつく締める。
締め上げられた瞬間、彼の一番良いところを強く嬲った。

「っあ、あぁあああ…!」

バーナビーは再び、イきすぎて出すモノが無いまま、達した。
そうして、まるで怯えるかのようにきつく目を閉じたバーナビーの体から、不意に全ての力が抜けていく。

(…やりすぎた)

口元に突っこまれたままの手を外してやり、汗と涙に濡れた頬を拭い、乱れた髪を柔らかく梳いてやる。
そうして虎徹は、限度を超えて意識を手放した恋人の身体を洗うべく、その白い身体を抱きかかえた。





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