2.もっとうまく誘ってみろよ
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「僕を抱いて下さい、先輩」
後輩というより弟のような年齢差のバーナビーの、誘うような視線にたじろぐ。
抱けと言うのは、やはり犯せという意味なのだろうか。
「…バ、バニー」
「遠慮はいりません。僕は本気です」
首元を掴まれたまま、いつの間にか虎徹はバーナビーを組み敷いていた。
お世辞にも大きいとは言えないソファーの上で、男2人が見詰めあう。
「……バニーちゃん、やっぱりお前は子供だからさぁ」
「………僕では相手になりませんか」
正直、ずっと子供のように接してきた後輩相手では勃たない。
それでも相手が満足するなら、と虎徹はバーナビーの上着を捲った。
「……っ」
不健康的では無いが、虎徹に比べて華奢な体格に白い肌。おまけに、困ったように顰る眉、そして潤んだ翠の瞳。
今更ながら、完璧な身体だと実感した。
虎徹は優しい手つきで腰周りを愛撫しながら、彼のズボンも取り払った。
剥き出しになった、手の平に収まる程度の大きさのそれを握り、形を確かめるように柔らかく揉み始めた。
「…ん…、…あっ」
芯を持ちはじめたそれに、指で作った輪を嵌め、搾るように上下に動かす。
「あ、あ、……あぁ…ッ」
男にしては高めの嬌声を上げながら、バーナビーは首を振る。
このまま果てるだけのはずだった。だが、
「や……やめ…!」
バーナビーが、不意にそれを揉む虎徹の腕を掴んだ。
「…これでは、僕しか、」
「いやいや、ここまで来たんだから一回イっとけよ」
「だ、駄目です、それじゃ…」
はぁ、はぁと荒い息をしながらバーナビーは拒絶した。
「僕は、あなたに、もう大人だと、証明を……」
「…でも突っ込むにしてもよ、勃たねぇからさ」
我ながら酷い事を言った。
バーナビーはショックを受けたような顔をして、俯いてしまった。
「……じゃあさ、もっと上手く誘ってみろよ」
申し訳なさの埋め合わせとして軽く提案した言葉に、バーナビーがバッと顔を上げた。
「そしたら勃つかもしれねぇだろ?」
「……、でも誘うって言ってもどうすれば…」
「んー…。俺が欲情するようなことすりゃ良いんだよ」
困ったように眉を歪めるバーナビーは小さな声で 例えば?と尋ねた。
こういうところはまだ子供だな、と内心微笑ましかった。
「例えば…そうだな、じゃあ自慰。見せてくれよ」
「……っ」
流石に恥ずかしいのだろうか、バーナビーは視線をうろうろさせる。
「出来ないのか?」
別に意地悪で言った訳ではないが、本人には圧力に聞こえたらしい。
バーナビーは意を決したように眉を吊り上げると、わかりました、と呟いた。
「…とりあえず、自分で慣らしてみろよ」
バーナビーの手にローションを塗り広げ、虎徹はその指を彼自身の蜜壺に導いた。
「…いれてみろ」
囁きながら、手伝うようにバーナビーの人差し指の先を彼の内部へと差し入れる。
バーナビーは、押し殺し損ねた声を時折漏らしながら、自分の指を深くすすめていった。
「…軽く指曲げて、良い所を探すんだ」
虎徹は、バーナビーの自慰を見守る。
「……んん、あっ」
バーナビーの指が前立腺に触れた。
「そこを触ってろ」
虎徹の言葉の通り、バーナビーはそこを刺激するように指を暴れさせた。
「う…ぅあ……あっ…あ…」
「…指を一回抜いて、次は二本に増やせ」
命じられるままにバーナビーは、自分の体内を探る指を二本に増やすと、虎徹の目の前であることを頭の隅で理解しながらも悦がる声を止められない。
「…ぁ…、あ、も…イく…ッ」
媚薬効果もあるらしいローションのせいで、快感を追うことしか出来ないバーナビーの腕を、虎徹は不意に掴んだ。
「…まだだ」
立ち上がり、感じきったバーナビーのそれを爪先で軽く擦った虎徹は、その刺激で小さな身体が震えるのを見て取り、微笑んだ。
虎徹はいつの間にか、乱れるバーナビーの姿に欲情したと同時に、加虐心も芽生えていたのだ。
バーナビーは快感をせき止められ、ただ硬直したまま虎徹の眼を見詰めていた。
「これ…、結んでみろよ」
バーナビーの震える手に、一本の紐を手渡して虎徹は目元で笑う。